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肺患
「肺患〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
肺患の前後の文節・文章を表示しています。該当する14件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「縮図」より 著者:徳田秋声
か、関東牛肉屋のK―某ほどではなくても、到る処のこの世界に顔が利き、夫人が永らく
肺患で、茅ヶ崎の別荘にぶらぶらしているせいもあろうが、文字通り八方に妾宅をおき、....
「みみずのたはこと」より 著者:徳冨健次郎
筈で、彼も案内をうけて居たので、出京のついでに梁川君を訪うことにしたのであった。
肺患者には無惨な埃まじりの風が散り残りの桜の花を意地わるく吹きちぎる日の午後、彼....
「小説 不如帰 」より 著者:徳冨蘆花
れる心の凱歌なりき。にくしと思う川島片岡両家の関鍵は実に浪子にありて、浪子のこの
肺患は取りも直さず天特にわれ千々岩安彦のために復讎の機会を与うるもの、病は伝染致....
「ラ氏の笛」より 著者:松永延造
、思わず、足を早めつゝ、彼れのあとを追った。(何故なら、その一週間前、施療部の一
肺患者が寝台の鉄柵へ帯を懸けて、首を縊った。非常な努力を以てでなくては出来ぬ、蹲....
「亮の追憶」より 著者:寺田寅彦
面がもう少し平生にも現われたかもそれはわからない。 弱いからだにとうとう不治の
肺患が食い込んでしまった。東京の医師に診てもらうために出て来て私のうちで数日滞在....
「ある遊郭での出来事」より 著者:若杉鳥子
る限り、記録なき歴史を繰り返してゆくであろう。 また私はある者が、暗い小部屋で
肺患に呻吟しているのを見た。 蒼ざめ痩せ細っていても、まだ快方に向かう希望のあ....
「明治美人伝」より 著者:長谷川時雨
由党副総理|中島信行《なかじまのぶゆき》男の夫人|湘煙《しょうえん》女史は、長く
肺患のため大磯にかくれすんで、世の耳目《じもく》に遠ざかり、信行男にもおくれて死....
「ジーキル博士とハイド氏の怪事件」より 著者:佐々木直次郎
アラビア夜話」及び「宝島」の出版によって初めて文学的名声を得たスティーヴンスンが
肺患に悩みながらヨーロッパ大陸からイギリスに帰り、イングランド南海岸の保養地ボー....
「鳶と柿と鶏」より 著者:豊島与志雄
がこちらに来て上山君枝を訪れたというのも、実は病気見舞かたがた、といっても彼女の
肺患は軽微なもので、まあ謂わば、その心境打診のためもあったのである。君枝の良人の....
「地上」より 著者:島田清次郎
両親は死んでいない。若い嫁に一人の男の子が生まれた。その男の子が二つの春、主人は
肺患で死んだのだ。若い嫁さんは二つの孤児を抱いて孤独の生涯を守るほどに貞節でも高....
「勧善懲悪」より 著者:織田作之助
ると、過去四ヵ月の間に七十名の貧病者に無料施薬をしたというのである。全国数十万の
肺患者のうち、僅か七十名(もっとも、引続きより以上の数に達するかも知れぬが)に施....
「青春の息の痕」より 著者:倉田百三
。 この集中の手紙のムードは全体からいっていささか女性的である。それは失恋と、
肺患と、退学とを同時に課せられた若きたましいが、自ら支えるための消極的抵抗であっ....
「勝ずば」より 著者:岡本かの子
起った喀血で、死の恐怖に縮み上ってしまった政枝はどうせ死ぬことに決った自分なら、
肺患者として長く病床に居て誰にも彼にも嫌われて惨めな最後に死んで行くよりいっそ今....
「ひとりすまう」より 著者:織田作之助
たのは、南紀白浜温泉の夜更けの海岸だった。その頃京都高等学校の生徒であったぼくは
肺患の療養のためその温泉地に滞在していた。恐らく病気のためだったろうが、その頃は....