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「背を向ける〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

背を向けるの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
」より 著者:横光利一
下駄のような物|入《い》るものか。」 と男はいうと彼女の手首を掴《つか》まえて背を向けると両手で彼女の足を抱いて歩き出した。母は男の背の上で「険《あぶな》い険....
俊寛」より 著者:菊池寛
経の顔を見据えていたが、成経はそれと悟ったわけでもあるまいが、くるりと俊寛の方へ背を向けると、海の方へ向いたまま、これもしばし、まどろむつもりだろう、黙り込んで....
恐怖の口笛」より 著者:海野十三
なくなった。彼女はバネ仕掛けのように立ち上ると、入口のところへ飛んでいって、扉に背を向けると、クルリと一郎を睨みつけた。 「あなたはあたしを……」 「ジュリアさ....
神州纐纈城」より 著者:国枝史郎
どは見えなかった。 と、卜伝の声がした。 「後へ退れ、一間後へ。後退りに歩け、背を向けるな」 そこで蔵人は後へ退った。 卜伝は闇の中に立っていた。片手で薬....
正義と微笑」より 著者:太宰治
。 そしてそれが一段一段と行き渡る。 日が出た。惜しい事には己はすぐ羞明しがって背を向ける。沁み渡る目の痛を覚えて。 あこがれる志が、信頼して、努力して、 最高....
レ・ミゼラブル」より 著者:豊島与志雄
ャンとマリユスとのポケットに一々さわってみた。ジャン・ヴァルジャンは特に光の方に背を向けることばかりに気を使っていたので、彼のなすままに任した。テナルディエはマ....
囚われ人」より 著者:豊島与志雄
なくても、少くとも、文化会議に君が背を向けてることは事実らしい。そこで、こちらに背を向けることは、あちらに顔を向けることだ。人間は、両方に二つ顔を持ってはいない....
白蛾」より 著者:豊島与志雄
していました。岸本省平に眼をとめて、じっと眺めることがありました。或は、くるりと背を向けることもありました。或は、それとなく頭を傾げて会釈することもありました。....
四十八人目」より 著者:森田草平
れた時は一ばん身に染みた。「ただこれまで事をともにしてきた関係上、にわかに同志に背を向けるようなこともいたしかねますが、近々のうちには機を見て身を引くことにして....
娘煙術師」より 著者:国枝史郎
んの口を恨むがよい」こういって来て泉嘉門は、嘲るように笑ったが、クルリと金兵衛へ背を向けると、一散に走って逃げ出した。 しかしその次の瞬間に、嘉門は意外な言葉....
恐怖の季節」より 著者:三好十郎
ち、否定すべきものに向ってハッキリとノオと言い放ち、言い放った瞬間からそのものへ背を向けるだけの勇気を持ち、困難と孤独に耐えて自分のものを生み出し育てて行くエネ....
二十歳のエチュード」より 著者:原口統三
。この焦躁感のまじった探究心はますますその悩みと傷口を大きくする。 僕が青春に背を向けることを歎くまい。 *218 人生においては、自分自身にさえ....
ファウスト」より 著者:ゲーテヨハン・ヴォルフガング・フォン
んの功があってこれを受けるのだ。 好い。優しい下界の日の光に、 貴様は決然として背を向けるが好い。 誰も畏れて避けて通る門の戸を、 押し開けて入る勇気があるなら....
澪標」より 著者:外村繁
ある。背後に看護婦の視線を感じる。 「後を向いて」 私は着物を押え、医者の方へ背を向ける。看護婦と視線が合う。熱っぽく濡れているような黒目である。清潔な視線と....
俗臭」より 著者:織田作之助
たものであろう……。 日が暮れて、彼は帰って来た。政江は出来るだけ、いわゆる「背を向ける態度」を示したが、しかし、権右街門の眼尻に皺が寄っているのを見ては、さ....