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「背中〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

背中の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
玄鶴山房」より 著者:芥川竜之介
に近いものを浮かべ、「おや、まあ、よく早く」と返事をした。お鈴ははっきりと彼女の背中にお芳の来ることを感じながら、雪のある庭に向った廊下をそわそわ「離れ」へ急い....
戯作三昧」より 著者:芥川竜之介
場で手拭《てぬぐい》をしぼっているちょん髷本多《まげほんだ》、文身《ほりもの》の背中を流させている丸額《まるびたい》の大銀杏《おおいちょう》、さっきから顔ばかり....
犬と笛」より 著者:芥川竜之介
に口笛を吹いて、一匹の黒犬を呼び出しながら、 「この犬の名は飛べと言って、誰でも背中へ乗ってさえすれば百里でも千里でも、空を飛んで行くことが出来る。明日《あした....
河童」より 著者:芥川竜之介
するとそこには僕の知らない穴でもあいていたのでしょう。僕は滑《なめ》らかな河童の背中にやっと指先がさわったと思うと、たちまち深い闇《やみ》の中へまっさかさまに転....
奇怪な再会」より 著者:芥川竜之介
方の眠から覚まされた。牧野はやはり彼女の隣に、静かな呼吸を続けていたが、こちらへ背中を向けた彼が、実際寝入っていたのかどうか、それはお蓮にはわからなかった。 ....
首が落ちた話」より 著者:芥川竜之介
慌しくそこここから飛び立ったが、馬は元よりそんな事には頓着《とんじゃく》しない。背中に乗せている主人が、時々ずり落ちそうになるのにもかまわずに、泡を吐き吐き駈け....
寒さ」より 著者:芥川竜之介
たものを感じた。が、踏切りの見えることはやはり不安には違いなかった。彼はそちらに背中《せなか》を向けると、もう一度人ごみの中へ帰り出した。しかしまだ十歩と歩かな....
」より 著者:芥川竜之介
深そうに答えました。 「こいつも体中《からだじゅう》まっ黒だから。」 白は急に背中の毛が逆立《さかだ》つように感じました。まっ黒! そんなはずはありません。白....
少年」より 著者:芥川竜之介
あいた音にもう一度ふと目を挙げると、父はちょうど湯気《ゆげ》の中に裸《はだか》の背中を見せたまま、風呂場の向うへ出る所だった。父の髪《かみ》はまだ白い訣《わけ》....
侏儒の言葉」より 著者:芥川竜之介
どの位妻の選択に滑稽《こっけい》なる失敗を重ねて来たか、もうそろそろ処女崇拝には背中を向けても好い時分である。 又 処女崇拝は処女たる事実を知った後....
俊寛」より 著者:芥川竜之介
悲しい事が沢山あるぞ。」 御主人は後《うしろ》の黒木《くろき》の柱に、ゆっくり背中を御寄せになってから、寂しそうに御微笑なさいました。 「女房《にょうぼう》も....
ある自殺者の手記」より 著者:秋田滋
のほうに手をさし伸べている彼の姿があまりにまざまざと眼の前にあらわれたので、私は背中へ水でも浴びせられたようにぞうッとした。そうだ、死者はたしかに帰って来るもの....
初雪」より 著者:秋田滋
さかる焔にかざした。燃えあがっている火は顔を焦すほど熱かったが、氷のような風が、背中へはいって来て、それが膚と着物との間を分け入ってゆくような気がした。彼女のか....
親ごころ」より 著者:秋田滋
の坐っていた場所にやって来て、同じ椅子に腰をかけ、古い石の柱に倚りかかって絶えず背中でそれをこすっては、柱をすり減らすのだった。そして、教会へ這入って来る人の顔....
三人の百姓」より 著者:秋田雨雀
働いていました。 伊作、多助、太郎右衛門の三人は、ある秋の末に、いつものように背中に炭俵を三俵ずつ背負って城下へ出かけて行きました。三人が村を出た時は、まだ河....