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背向
「背向〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
背向の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「外科室」より 著者:泉鏡花
げき》とてもなかりしなるが、ここにおいてか、わななくあり、面を蔽《おお》うあり、
背向《そがい》になるあり、あるいは首《こうべ》を低《た》るるあり、予のごとき、わ....
「国貞えがく」より 著者:泉鏡花
て、 「一度見さっしゃるか。」と親父に言った。 「いや、見ますまい。」 と顔を
背向《そむ》ける。 祖母《としより》は解《ほど》き掛《か》けた結目《むすびめ》....
「婦系図」より 著者:泉鏡花
た。 「幾久く、お杯を。」と、ぐっと飲んで目を塞いだのである。 物をも言わず、
背向きになったまま、世帯話をするように、先生は小芳に向って、 「そっちの、そっち....
「海異記」より 著者:泉鏡花
ゃないんだから、」 と肩を引いて、身を斜め、捩り切りそうに袖を合わせて、女房は
背向になンぬ。 奴は出る杭を打つ手つき、ポンポンと天窓をたたいて、 「しまった....
「春昼」より 著者:泉鏡花
。 心ありそうに、そうすると直ぐに身を引いたのが、隔ての葭簀の陰になって、顔を
背向けもしないで、其処で向直ってこっちを見ました。 軒下の身を引く時、目で引つ....
「天守物語」より 著者:泉鏡花
狩の中より射掛けたるなり。 夫人 (斉しくともに)む。(と肩をかわし、身を捻って
背向になる、舞台に面を返す時、口に一条の征矢、手にまた一条の矢を取る。下より射た....
「草迷宮」より 著者:泉鏡花
の袖を※に翳す。 「あれを貴下、お通りがかりに、御覧じはなさりませんか。」 と
背向きになって小腰を屈め、姥は七輪の炭をがさがさと火箸で直すと、薬缶の尻が合点で....
「歌行灯」より 著者:泉鏡花
お能の舞の真似なんです。」と、言いも果てず、お千の膝に顔を隠して、小父者と捻平に
背向になった初々しさ。包ましやかな姿ながら、身を揉む姿の着崩れして、袖を離れて畳....
「化銀杏」より 著者:泉鏡花
直ちに去るべし。忍びて様子をうかがいたまわば、すッと障子をあくると共に、銀杏返の
背向に、あとあし下りに入り来りて、諸君の枕辺に近づくべし。その瞬時真白なる細き面....
「照葉狂言」より 著者:泉鏡花
「貢、もう己あ邪魔あしない。堪忍してやらあ、案じるな。」 と、くるりと此方に
背向けつつ、行懸けしが立ち返りて、円なる目に懸念の色あり。またむこう向に身を返し....
「伊勢之巻」より 著者:泉鏡花
、そして、もう酒は沢山だから、お飯にしよう。」 「はいはい、……」 身を起して
背向になったが、庖丁を取出すでもなく、縁台の彼方の三畳ばかりの住居へ戻って、薄い....
「誓之巻」より 著者:泉鏡花
ねして、予は机にうつぶしぬ。 掻巻をば羽織らせ、毛布引かつぎて、高津は予が裾に
背向けて、正しゅう坐るよう膝をまげて、横にまくらつけしが、二ツ三ツものいえりし間....
「三枚続」より 著者:泉鏡花
光|颯と葭戸を透いて、やがて台附の洋燈をそれへ、小間使の光は、団扇を手にしたまま
背向になっている才子の傍へ、そッと差置いて退ろうとする。 「待ちねえ。」 とい....
「註文帳」より 著者:泉鏡花
五助さん、これでしょう、)と晩方|遊女が遣った図にそっくりだ。はっと思うトタンに
背向になって仰向けに、そうよ、上口の方にかかった、姿見を見た。すると髪がざらざら....
「ピストルの使い方」より 著者:泉鏡花
とともに羽織の襟を払って、ずかと銅像の足の爪を、烏の嘴のごとく上から覗かせて、真
背向に腰を掛けた。 「姓は郡です……職人近常の。……私はその伜の多津吉というんだ....