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背延び
「背延び〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
背延びの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「或る女」より 著者:有島武郎
「ばかだなどうせ知れる事を」
「でもそれはいけません……ぜひ」
葉子は後ろから
背延びをしてそっと倉地の後ろ首を吸った。そして二人は顔を見合わせてほほえみかわし....
「生まれいずる悩み」より 著者:有島武郎
く漂う船の前まで来ると、波の山は、いきなり、獲物に襲いかかる猛獣のように思いきり
背延びをした。と思うと、波頭は吹きつける風にそりを打って※とくずれこんだ。 は....
「神州纐纈城」より 著者:国枝史郎
たる発光体! それが彼女の姿であった。 部屋の暗さにいよいよ白く、彼女の五体は
背延びをした。 と、また彼女は身をかがめた。 小桶に水を一杯充たせた。 ザ....
「工場細胞」より 著者:小林多喜二
い出した。聞きとれないので、皆はしゃべることをやめた。耳の後に掌をあてゝ、みんな
背延びをした。 ――……こゝへ上るのに、どんなに覚悟が要るでしょう……私は生意....
「嵐」より 著者:島崎藤村
いて、そこへ身長を計りに行くものは一人ずつその柱を背にして立たせられた。そんなに
背延びしてはずるいと言い出すものがありもっと頭を平らにしてなどと言うものがあって....
「ドナウ源流行」より 著者:斎藤茂吉
、童子等はその上をも歩いている。穉児などは散歩道からその石壁に両手でつかまって、
背延びをして、辛うじてドナウの水を見ている。その散歩道を大勢の人が往反している。....
「感想家の生れでるために」より 著者:坂口安吾
から、四十代三十代、分類、系列、苦心サンタン、妖怪を描きだしてしまうので、無理な
背延びをしてはいけない。 小説を書くことが他の何物よりも好きで堪らぬ作家と、小....
「金銭無情」より 著者:坂口安吾
り。又、おいで。信心のはじまりは、そんなものだよ。叱りはせん」 清人は外へでゝ
背延びをしたが、養神様はほんとに何か通力があるのかも知れないといふ気持もした。 ....
「現代忍術伝」より 著者:坂口安吾
を天草物産の袋につめかえて、それでツメカエの仕事が万事終了すると、アーすんだ、と
背延びをしてから、正宗菊松をジッと見て、 「私、ツル子よ。どうぞ、よろしく」 ....
「投手殺人事件」より 著者:坂口安吾
ウン、そうするよ。あッちで、休んでいてくれ」 岩矢天狗を退らせて、居古井警部は
背延びした。 「ゆうべの京都のタクシーはだいぶ嵐山を往復したのがいるわけだ。ひと....
「街はふるさと」より 著者:坂口安吾
に濃色のカーテンが垂れているように思われた。そして両手を後背にくみ、首をまげて、
背延びをした。長平が冗談のツモリでいると、放二が言葉を添えて、 「先生。ルミちゃ....
「南蛮秘話森右近丸」より 著者:国枝史郎
を足場にしてやろう」 そっと窓下へ石を置いたが、やがてその上へヒョイと乗ると、
背延びをして小穴から覗き出した。 「ワーッ、有難え、よく見えらあ」 それから熱....
「血曼陀羅紙帳武士」より 著者:国枝史郎
小娘!」 と、お浦は、南国に住むという傘蛇が、敵に襲いかかるように、ユラユラと
背延びをし、両手を高く上げたが、 「命取られるまでに折檻され、嬲り殺しにかけられ....
「明暗」より 著者:岡本かの子
には自分の恰好さえ見えないんだもの」 三木雄はまだ停っている。智子はもう一ぺん
背延びして思い切って三木雄の手を捉えた。 「さ、触ってごらんなさい。あなたのお体....
「岐阜提灯」より 著者:田中貢太郎
い犬の姿がそこに見えた。真澄は眼をひかずにそれを見た。 白い犬の姿はゆっくりと
背延びをするように体をのびのびとさしたが、やがて歩きだして中敷の前を掠めて裏門の....