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「背水〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

背水の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
或る女」より 著者:有島武郎
の中に煮え返る想《おも》いをまざまざと裏切って、見る人のあわれを誘うほどだった。背水の陣と自分でもいっているように、亡父の財産をありったけ金に代えて、手っ払《ぱ....
星座」より 著者:有島武郎
ならないだろう。あまりに簡単だ。しかしあまりに明快だ。何もかも素直に投げだして、背水《はいすい》の陣《じん》を布《し》いたらしく見える彼女を思うと、渡瀬はふと奇....
グッド・バイ」より 著者:太宰治
の破滅さ。」 「フクスイの陣って、とこね。」 「フクスイ? バカ野郎、ハイスイ(背水)の陣だよ。」 「あら、そう?」 けろりとしている。田島は、いよいよ、にが....
右門捕物帖」より 著者:佐々木味津三
気をその両眼にたたえながら、じっと中のけはいをうかがっているのです。 「ウフフ、背水の陣を敷いたかい。じゃ、こっちでもひとしばいうってやらあ」 ずかずかと縁側....
惜みなく愛は奪う」より 著者:有島武郎
在を唯一の宝玉として尊重し、それを最上に生き行く外に残された道はない。私はそこに背水の陣を布いてしまったのだ。 といって、私は如何にして過去の凡てを蔑視し、未....
渾沌未分」より 著者:岡本かの子
という観念をいかにしても受付けさせなかった。ついに父は荒川放水を逃路の限りとして背水の陣を敷き、青海流水泳の最後の道場を死守するつもりである。 このように夏|....
厳島合戦」より 著者:菊池寛
は鼓の浦へ着くと、乗っていた兵船を尽く二十日市へ漕ぎ帰らしめた。正に生還を期せぬ背水の陣である。吉川元春は先陣となって、えいえい声を掛けて坂を上るに、其声|自ら....
武装せる市街」より 著者:黒島伝治
「しかし、今度は、いくら精鋭な武器を持って蒋介石がやって来たって、大人の方でも背水の陣を敷いてやるでしょう。どちらかというと、大人の方が、どうしても負けられな....
貧を記す」より 著者:堺利彦
あたわず。家主に敷金をやらず、先の宿にまかない料を払わず。こんどの引ッ越しすべて背水の陣なり。 四月一日、はなはだ窮せり、家主迫り先の宿迫る。徹夜して一文を草....
みみずのたはこと」より 著者:徳冨健次郎
少しはと儂は云うた。実は六年村に住んでもまだ村の者になり切れぬのである。固有の背水癖で、最初|戸籍までひいて村の者になったが、過る六年の成績を省ると、儂自身も....
西鶴と科学」より 著者:寺田寅彦
けたので、もし上掲の表題でも宜しければ何か書いてみようということになった。云わば背水陣的な気持で引受けた次第である。そんな訳であるから、この一篇は畢竟思い付くま....
白髪鬼」より 著者:岡本綺堂
、無理に父を口説いて再び上京しました。したがって、ことしの受験はわたしに取っては背水の陣といったようなわけで、平素のん気な人間も少しく緊張した心持で帰って来たん....
次郎物語」より 著者:下村湖人
何でも、第二学期の試験がすんだ日、大沢がたずねて来て雑談しているうちに、誰かが「背水の陣」という言葉をつかったのがもとらしく、自分で自分を窮地に陥れて苦労をして....
可能性の文学」より 著者:織田作之助
的小説にもいいところがあり、新しい外国の文学にもいいところがあり、二者撰一という背水の陣は不要だという考え方もあろうが、しかし、あっちから少し、こっちから少しと....
曲亭馬琴」より 著者:邦枝完二
「お言葉じゃございますが、この馬琴は、戯作を、楽しみ半分ということではなしに、背水の陣を布《し》いて、やって見たいと思って居りますんで。……」 「折角だが駄目....