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背皮
「背皮〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
背皮の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「路上」より 著者:芥川竜之介
てその入口の両側には、見上げるような大書棚《おおしょだな》が、何段となく古ぼけた
背皮を並べて、まるで学問の守備でもしている砦《とりで》のような感を与えていた。
....
「虞美人草」より 著者:夏目漱石
行く」 「どこだか分らない」 宗近君は机の上にあるレオパルジを無意味に取って、
背皮《せがわ》を竪《たて》に、勾配《こうばい》のついた欅《けやき》の角でとんとん....
「ケーベル先生」より 著者:夏目漱石
《き》った色で包まれていた。洋書というものは唐本《とうほん》や和書よりも装飾的な
背皮《せがわ》に学問と芸術の派出《はで》やかさを偲《しの》ばせるのが常であるのに....
「こころ」より 著者:夏目漱石
た。 書斎には洋机《テーブル》と椅子《いす》の外《ほか》に、沢山の書物が美しい
背皮《せがわ》を並べて、硝子越《ガラスごし》に電燈《でんとう》の光で照らされてい....
「支倉事件」より 著者:甲賀三郎
さの小ぢんまりとした部屋は床の間の基督受難の掛軸や、壁間の聖母の画像や違棚の金縁
背皮の厚い聖書らしい書物など、宣教師らしい好みで飾られていた。 やがて、ノッシ....
「道標」より 著者:宮本百合子
伸子がその台の上の本を少しずつ片よせて見ているところへ、素子が、より出した二冊の
背皮の本をもって別な本棚の方から来た。
「なにかあるのかい」
「――この間のコロ....
「ねずみと猫」より 著者:寺田寅彦
りするうちはいいが、寝入りぎわをはげしい物音に驚かされたり、買ったばかりの書物の
背皮を無惨に食いむしられたりするようになると少し腹が立って来た。 請負師や大工....
「本棚」より 著者:宮本百合子
れた赤いクロースの『太陽』だの『美奈和集』だの、もうどこかへ行って跡かたもない黒
背皮の『白縫物語』だの『西鶴全集』の端本だのがあった。ポーの小説集二冊を母が何か....
「小さな出来事」より 著者:寺田寅彦
ると、簑の上に隙間なく並んでいる葉柄の切片が、なんだかこの隠れた小哲学者の書棚に
背皮を並べた書物ででもあるような気がした。 この簑について思い出すのは、私が子....
「冬の王」より 著者:森鴎外
エルリングは椅子を出して己を掛けさせた。己はちょいと横目で、書棚にある書物の
背皮を見た。グルンドヴィグ、キルケガアルド、ヤアコップ・ビョオメ、アンゲルス・シ....
「だいこん」より 著者:久生十蘭
るというのには、それにはそれだけの理由がなくてはならないわけだが、長謙さんは本の
背皮のことしかわからない頓馬だから、これはまた風流な憲兵もいるものだと、先にたっ....
「書籍の風俗」より 著者:恩地孝四郎
、その書格を構成する分子としてその綴装様式は重大な役割りをもつものである。例えば
背皮を採り乍ら、打抜き綴じなどにするが如きは、やむを得ない場合は致し方なしとして....
「水晶の栓」より 著者:新青年編輯局
名の部下の連中は本箱から図書を一冊ずつ引っ張り出して頁を一枚二枚探り開け、はては
背皮まで突ついて見ておる。 『ああ、馬鹿々々敷い!……何も発見かりやせん』とプラ....
「フレップ・トリップ」より 著者:北原白秋
、頂上は平坦で。 ちょうど、四六版の本を横に見た形だ。 まだほの暗い、藍鼠の
背皮、その
背皮は懸崖だ。 赤い、豆の太陽の南、影になった懸崖の残雪、 と観た....
「黒部川奥の山旅」より 著者:木暮理太郎
昼頃には蚕が作り並べた綿ぼうしのように縁のぼやけたものと変って、終には大きな鰐の
背皮を見るような灰色やドス黒い色をしたのが次第に増して来る積雲の間から望まれるよ....