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「胡座〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

胡座の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
星座」より 著者:有島武郎
などはなかった。渡瀬は膳の角でしずくを切って……もう俺の知ったことじゃないぞ……胡座《あぐら》から坐りなおって、正面を切って杯を奥さんの方にさしだしかかった。 ....
老妓抄」より 著者:岡本かの子
。 「仕様のない我儘《わがまま》娘だな」と云って、柚木は上体を起上らせつつ、足を胡座《あぐら》に組みながら 「ほほう、今日は日本髪か」とじろじろ眺めた。 「知ら....
青春の逆説」より 著者:織田作之助
俺はしょっちゅう自尊心の坐りどころを探して、苛立っているが、野崎は珈琲一杯の中に胡座をかいてしまうことが出来る。何という違いだ! つまり俺の方がずっと浅ましい存....
二、三羽――十二、三羽」より 著者:泉鏡花
。畚褌の肥大裸体で、 「それ、貴方。……お脱ぎなすって。」 と毛むくじゃらの大胡座を掻く。 呆気に取られて立すくむと、 「おお、これ、あんた、あんたも衣もの....
深夜の市長」より 著者:海野十三
はなかった。そして大切な物件は、あざやかに盗まれてしまったのである。僕は畳の上に胡座をかくと、全く途方に暮れてしまった。何本目かの莨を、火鉢の中に突きこんでいる....
空襲葬送曲」より 著者:海野十三
かなかったらしいのを察して、慰め顔に云った。 「……」長造は、無言で長火鉢の前に胡座をかいた「おや、ミツ坊が来ているらしいね」 小さい毛糸の靴下が、伸した手に....
地球盗難」より 著者:海野十三
られなかった。それで次の檻の中を窺った。そこには、更に巨大なる動物が、金網の中に胡座をかいて、ジッと前方を見詰めていた。それは生ける仁王さまのような人間だったが....
食魔」より 著者:岡本かの子
が無いので、寒いだけ室内の焜炉の火も、火鉢の火も穏かだった。 彼は座布団の上に胡座を掻くと、ビール罎に手をかけ、にこにこしながら壁越しに向っていった。 「おい....
恭三の父」より 著者:加能作次郎
た。 父は「ふふーむ。」と笑って居てなか/\膳に向わなかった。囲炉裏に向って、胡座の膝に両手をさしちがえて俯向き加減になって、つまった鼻をプン/\言わせて居た....
女客」より 著者:泉鏡花
ゃありやしない。串戯はよして、謹さん、東京は炭が高いんですってね。」 主人は大胡座で、落着澄まし、 「吝なことをお言いなさんな、お民さん、阿母は行火だというの....
深川女房」より 著者:小栗風葉
れて、印譜散らしの渋い緞子の裏、一本筋の幅の詰まった紺博多の帯に鉄鎖を絡ませて、胡座を掻いた虚脛の溢み出るのを気にしては、着物の裾でくるみくるみ喋っている。 ....
荒蕪地」より 著者:犬田卯
づくそう思ったよ。」 大きな松の根ぼっくのぷすぷす燃えている炉の正面にどっかと胡座をかいて、六十歳にしてなお若い妾を囲っておくという評判の前村長は、つるつるに....
」より 著者:犬田卯
うな嬉しげな微笑を顔いっぱいに湛えた。 勇は国防色のスフの上衣を脱ぎ、上り端へ胡座をかいてから、小さい新聞包みを母の方へ押しやった。 「おみやげだ。何にもなく....
沼畔小話集」より 著者:犬田卯
面接したようにぞっとしたという。 自然人 お寺の門のところにどっかと胡座をかいた、微動だもせぬ、木像の安置せられたような彼――いかなる名匠の鑿をもっ....
父の出郷」より 著者:葛西善蔵
せっせと復習をしている、母や妹たちのことを悲しく思いだしているところへ、親父は大胡座を掻いて女のお酌で酒を飲みながら猿面なぞと言って女と二人で声を立てて笑う、そ....