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胡散
「胡散〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
胡散の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「義血侠血」より 著者:泉鏡花
体のやつが通ったので、巡査が咎《とが》めるとこそこそ遁《に》げ出したから、こいつ
胡散《うさん》だと引っ捉《とら》えて見ると、着ている浴衣《ゆかた》の片袖《かたそ....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
に云った。 見ず識らずの女が夜ちゅうに人の店へあがり込もうというのは、なんだか
胡散らしいとも思ったが、お徳はもう三十を越している。相手は弱々しい女ひとり、別に....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
あるいて、何かの手がかりを見つけてくれ。常磐津の師匠と雇い婆、あいつらもなんだか
胡散だから、出這入りに気をつけろ」 なにを云うにも人通りの少ない場末の町である....
「鍵から抜け出した女」より 著者:海野十三
者である僕に懸けられた莫大な賞金のことに違いなかった。 住民の中には、僕の方を
胡散くさそうに、ふりかえる者もあった。しかし僕は逸早く病院の寝衣を脱ぎすて、学生....
「銀座幽霊」より 著者:大阪圭吉
飲物を持って来させたりした。が、警部は最初から苦り切っていて、ろくに口もきかず、
胡散臭げに支配人のすること為すことを、ジロジロ覗っていた。 窓越に見える直ぐ前....
「春昼」より 著者:泉鏡花
を横銜えで題目を唱えたり、……昔からもそういうのもなかったんじゃないが、まだまだ
胡散ながら、地獄極楽が、いくらか念頭にあるうちは始末がよかったのです。今じゃ、生....
「天馬」より 著者:金史良
り向いてみた。けれどむろんそこに文素玉の影もあろう筈がなく、ただ道行く人が一人|
胡散臭《うさんくさ》そうに立ち止って彼の姿を眺めていた。くそ忌々しいと彼は再び口....
「千早館の迷路」より 著者:海野十三
たは、又千早館へ行く衆かね。やめたがいいね。悪いことはいわないよ」 婆さんは、
胡散くさそうに帆村とカズ子を見くらべていった。 「あ、お婆さん。親切にいってくれ....
「博物誌」より 著者:岸田国士
なものは使やしない。薬莢は引出しの中へ入れたままだ」 鹿はじっと耳をかしげて、
胡散臭そうに私の言葉を聴いていた。私が口を噤むと、彼はもう躊躇しなかった。一陣の....
「十二神貝十郎手柄話」より 著者:国枝史郎
きへ噂したりして、仙介の評判は来た日から良かった。がしかしお菊だけは、その仙介を
胡散そうに見た。 「あの男の眼付き、気に食わないよ。それにさ、手の指が白すぎるよ....
「沙漠の古都」より 著者:国枝史郎
い渡しましょう」 「よかろう」 とラシイヌは頷いた。そうして改めて土耳古美人を
胡散くさそうに眺めた後、レザールにそっと囁いた。しかしレザールにはその美人が怪し....
「壁の眼の怪」より 著者:江見水蔭
様に、水煙を立て逃げ出した。 直芳は悪い事をしたと悔いた。そうして声高く、 「
胡散の者では御座らぬ。三面村へ参る者。米沢藩の御典医の一行が、薬草採りに参ったの....
「深川女房」より 著者:小栗風葉
点の行かぬ顔をして、「なぜね?」 「へへへ、でもお寂しそうに見えますもの……」と
胡散くさい目をしながら、「何は、金之助さんは四五日見えませんね?」 お光は黙っ....
「ドーヴィル物語」より 著者:岡本かの子
座席に即くと悠々小田島のシガレットケースから煙草を抽き出してふかし始めた。そして
胡散臭そうに女を見乍ら誂を聞く給仕男へ横柄に、 ――ちょいと。何かぱっと眼の覚め....
「宝永噴火」より 著者:岡本かの子
この目準があるものだから、いくら老僧たちが嘲笑的な態度を執ろうとも最後には彼等の
胡散の誘惑から免れて初一念が求むる方向へと一人とぼとぼ思念を探り入れて行った。か....