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「胡麻の蠅〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

胡麻の蠅の前後の文節・文章を表示しています。該当する11件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
っと気をつけなけりゃあいけませんぜ」と、多吉は仔細らしくささやいた。 「まさか、胡麻の蠅じゃあるめえ」と、半七はまた笑った。「小博奕でも打つぐらいの奴なら、旅籠....
夜明け前」より 著者:島崎藤村
銀の運搬にはいろいろ難渋した話がある。※にくるんで乾物の荷と見せかけ、かろうじて胡麻の蠅の難をまぬかれた話もある。武州|川越の商人は駕籠で夜道を急ごうとして、江....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
本腕の男が傍へ寄って来たら、ウント嚇《おどか》してやるがいい」 「うむ、一本腕の胡麻の蠅が来たら用心するんだな。何と言ったけな、その胡麻の蠅の名前は」 「がんり....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
とを言ったが、先の取次をした男が出て来て、御用でござりますかと言うから、道中にて胡麻の蠅のことを言い出して、路銀を二両ばかり貸してくれるように頼むと言ったら、竜....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
をつけていったのかわからないうちに、その旅人は行き過ぎてしまいました。 道中に胡麻の蠅はつきものである。いちいち胡麻の蠅を怖れていては、道中はできない。またそ....
鳴雪自叙伝」より 著者:内藤鳴雪
め》く声も聞えて来た。寝られぬままに耳を欹《そばだて》ると、何でも道中によくある胡麻の蠅を働く男を捉えてそれを拷問するのであると判った。僕をして宿の者に訊ねさせ....
名人地獄」より 著者:国枝史郎
は、とんとたわけた男だの」「そこは正直でございましてな。お気に召さずば道中師屋、胡麻の蠅屋大泥棒屋、放火屋とでもご随意に、おつけなすってくださいまし」「いよいよ....
南国太平記」より 著者:直木三十五
月はかかろうか」 「まあ、三百八十里?」 綱手も、深雪も、安達ヶ原の鬼の話や、胡麻の蠅のことや、悪い雲助のことや、果のない野原、知らぬ道の夜、険しい山などを、....
狂女と犬」より 著者:小酒井不木
うな愚にもつかぬ考を抱いて居たのである。さもなくても、せめて昔の物語りに出て来る胡麻の蠅にでもぶつかるか、或はまた、父母をたずねる女の巡礼と道連れになって、その....
醤油仏」より 著者:吉川英治
その代金として、最初、国元から預かって来た金は、まったく道中の誤ちで、お咲が胡麻の蠅に掏られたのだった。仲間の一平はそれに同情して、自分の郷里へでも行って金....
八寒道中」より 著者:吉川英治
をめくって、 「おのれの面と声がらに覚えがある、伊勢の松坂で拙者の枕元を探った、胡麻の蠅の仙吉だな」 「えっ。……だ、旦那は」 「静かにいたせ。……だが、今夜は....