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胤
「胤〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
胤の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「偸盗」より 著者:芥川竜之介
の歌を、腹の中の子が、喜ばないというはずはない。
しかし、その子が、実際次郎の
胤《たね》かどうか、それは、たれも知っているものがない。阿濃《あこぎ》自身も、こ....
「二人小町」より 著者:芥川竜之介
せん。あなたはまだ知らないのですか? わたしはただの体ではありません。もう少将の
胤《たね》を宿しているのです。わたしが今死ぬとすれば、子供も、――可愛いわたしの....
「西郷隆盛」より 著者:芥川竜之介
もない。ただ、義経《よしつね》と鉄木真《てむじん》とを同一人にしたり、秀吉を御落
胤《ごらくいん》にしたりする、無邪気な田舎翁《でんしゃおう》の一人だったのである....
「俊寛」より 著者:芥川竜之介
と一しょに、ちょいと頷《うなず》いて御見せになりました。
「抱いていた児も少将の
胤《たね》じゃよ。」
「なるほど、そう伺って見れば、こう云う辺土《へんど》にも似....
「玉藻の前」より 著者:岡本綺堂
貌《きりょう》といい、手蹟《しゅせき》といい、これほどの乙女が地下《じげ》の者の
胤《たね》であろう筈がない。あるいは然るべき人の姫ともあろう者が、このようないた....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
。昨年の夏頃から宿に奉公して居りましたお北という若い女中が主《ぬし》の定まらない
胤《たね》を宿して、だんだん起居《たちい》も大儀になって来たので、この七月に暇を....
「振動魔」より 著者:海野十三
ないで下さい。どうしてこれだけ僕が説明をするのに判ってくれないんです。貴女が僕の
胤を宿したということが判ったなら、僕は一体どうなると思うのです。社会的地位も名声....
「夜泣き鉄骨」より 著者:海野十三
の情婦を、若い男に失敬されちまったんだ。いや、おまけに、情婦というのが、若い男の
胤を宿しちまった。いいですか。これが普通の場合だったら、旦那どの
胤だと、胡魔化せ....
「三人の双生児」より 著者:海野十三
の覚えはなかったが、それにしても……。 「じゃあ、それが本当なら、なぜ妾は貴方の
胤を宿したのです。誰が訛されるもんですか。嘘つき!」 「君と関係を持たなくても妊....
「食魔」より 著者:岡本かの子
死水を取ってやった唯一の親友の檜垣の主人は、結局その姪を自分に妻あわして、後嗣の
胤を取ろうとする仕掛を、死の断末魔の無意識中にあっさり自分に伏せている。こう思っ....
「修禅寺物語」より 著者:岡本綺堂
うて、一生むなしく朽ち果つるを悔みながらに世を終った。その腹を分けた姉妹、おなじ
胤とはいいながら、姉は母の血をうけて公家気質、妹は父の血をひいて職人気質、子の心....
「中国怪奇小説集」より 著者:岡本綺堂
小奴 天祐丙子の年、浙西の軍士|周交が乱をおこして、大将の秦進忠をはじめ、張
胤ら十数人を殺しました。 秦進忠は若い時、なにかの事で立腹して、小さい奴を殺し....
「草迷宮」より 著者:泉鏡花
だけ幽に覚えているんですが、人の妾だとも云うし、本妻だとも云う、どこかの藩候の落
胤だとも云って、ちっとも素性が分りません。 娘は、別に異ったこともありませんが....
「伊勢之巻」より 著者:泉鏡花
なる枯木と観じて、独り寂寞として茶を煮る媼、特にこの店に立寄る者は、伊勢平氏の後
胤か、北畠殿の落武者か、お杉お玉の親類の筈を、思いもかけぬ上客一|人、引手夥多の....
「備前天一坊」より 著者:江見水蔭
一 徳川八代の将軍|吉宗の時代(享保十四年)その落
胤と名乗って源氏坊天一が出た。世上過ってこれを大岡捌きの中に編入しているのは、素....