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胸に一物
「胸に一物〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
胸に一物の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「競馬」より 著者:織田作之助
なみも忘れていた。これですかと男はいやな顔もせず笑って、こりゃ僕の荷物ですよ、「
胸に一物、背中に荷物」というが、僕の荷物は背中に一文字でね。十七の年からもう二十....
「青春の逆説」より 著者:織田作之助
。豹一はキラキラ光る眼でその背中を見送った。品物を用意してきた風呂敷に包み、 「
胸に一物、背中に荷物やな」と、丁稚に言われて、帰る道は風呂敷包みをもっているだけ....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
料理屋へ連れ込まれて、初めて相談を掛けられたのだということです。いずれにしても、
胸に一物ある勇二はすぐにその相談に乗って、ひとまず奥様を鮫洲の金造の家に隠まうこ....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
れで出かけたんです。 お半は幽霊を怖がって、中途から右の路へ出ようというのを、
胸に一物ある信次郎は、無理に左の方へ連れ込むと、お半はいよいよ怖がって信次郎にす....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
、お駒がほかの座敷へ廻っているあいだに、時々に飛んだ冗談を云い出すこともあった。
胸に一物あるお定は結局かれになびいて、宿の或る小料理屋の奥二階を逢曳きの場所と定....
「支倉事件」より 著者:甲賀三郎
はなかった。只写真師の浅田は時折訪ねては慰めて呉れるけれども、以前の事もあり何か
胸に一物ありげで、打解けて心から彼を迎える事は出来なかった。 そんな訳で彼女の....
「うつり香」より 著者:近松秋江
っていて、口を利くにもその腹で口を利いている。鳥安なんぞへつれ出すにも、そういう
胸に一物あってしていることだ。 こういうと、お前は、つまらない、蠣殻町の女|風....
「みみずのたはこと」より 著者:徳冨健次郎
。紀州灘の荒濤が鬼が城の巉巌にぶつかって微塵に砕けて散る処、欝々とした熊野の山が
胸に一物を蔵して黙して居る処、秦始皇に体のよい謀叛した徐福が移住して来た処、謀叛....
「霧陰伊香保湯煙」より 著者:三遊亭円朝
茂之助が寝て、中央へお瀧、向うの端へ松五郎が寝まして、互に枕を附けると、茂之助は
胸に一物有りますからわざとグウー/″\と鼾を掻いて居りますが、少しも寝ない。何う....
「カラマゾフの兄弟」より 著者:ドストエフスキーフィヨードル・ミハイロヴィチ
おる、その眼つきはうさん臭いぞ、どうも、人を小ばかにした眼つきだ……おまえは何か
胸に一物あってやって来たんだな、ほら、アリョーシャの眼つきを見い、晴れ晴れしとる....
「現代忍術伝」より 著者:坂口安吾
だよ。オヌシもポツネンと山奥の宿へおいてけぼりで、なんとなくパッとしないな」 「
胸に一物あってのことよ。忠勤ヅラは見ていられねえや」 「さあ。そこだよ。どうだい....
「博物誌」より 著者:岸田国士
しい。そして、無茶苦茶に地べたを転げ回る。 いったい、どうしたのだ? 彼女は
胸に一物あって、芝居をやっているのである。 彼女は野原へ行って卵を産んで来たの....
「昨日・今日・明日」より 著者:織田作之助
」 「じゃ、誰のだ」 「あはは……」 「変な笑い方をするなよ。あはは……。何だか
胸に一物、背中に荷物ってとこかな。あはは……」 「あはは……」 父子は愉快そう....
「殺人迷路」より 著者:甲賀三郎
した。然し、金より他に貴いものを知らない父は、貧乏な星田さんを好みません。そこで
胸に一物ある山川牧太郎は、星田さんに彼の名を使う事を許したのです。と云うのは、山....
「春水と三馬」より 著者:桑木厳翼
悉く之を誦じ、其他雑芸雑学に通じて衆愚に説法することを楽しむ一個の閑人であるが、
胸に一物ある巧案という鍼医の画策によって文殊の再生と言い触らされ、其名も愛読書の....