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胸に刻
「胸に刻〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
胸に刻の前後の文節・文章を表示しています。該当する14件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「或る女」より 著者:有島武郎
げ込んでいようとも、木村の記憶は哀《かな》しくなつかしいものとして死ぬまで葉子の
胸に刻みつけられていたろうものを。……それはそうに相違ない。それにしても木村は気....
「彼岸過迄」より 著者:夏目漱石
顔がことに穏《おだや》かだったので、小供ながら、ついその時の言葉まで小《ち》さい
胸に刻みつけておいた。しかし母がそれに対してどう答えたかは全く知らない。いくら思....
「行人」より 著者:夏目漱石
僕に話したから、もう安心だろう。しかし……」
自分は家《うち》を出た時に自分の
胸に刻み込んだ兄との会見を思わず憶《おも》い出した。そうしてその折の自分の疑いが....
「三山居士」より 著者:夏目漱石
だ血の漲《みな》ぎらない両頬の蒼褪《あおざ》めた色が、冷たそうな無常の感じを余の
胸に刻《きざ》んだだけである。 余が最後に生きた池辺君を見たのは、その母堂の葬....
「門」より 著者:夏目漱石
合《ゆごう》するものは時日であるという格言を、彼は自家の経験から割り出して、深く
胸に刻みつけていた。それが一昨日《おととい》の晩にすっかり崩《くず》れたのである....
「狂乱」より 著者:近松秋江
も田舎に往って流行風邪で臥せっている時に流行感冒であえなく死んだということが強く
胸に刻みつけられているので、不幸なる自分がまた風邪にでも罹って、このまま死にでも....
「新世帯」より 著者:徳田秋声
りとめもなくお作のことを考えていた。あまり可愛いと思ったこともないが、何だか深く
胸に刻み込まれてしまったようにも思えた。そのうちに、ウトウトと眠ったかと思うと、....
「花物語」より 著者:寺田寅彦
他からも聞いた事はなかったが、何となしに不幸な人という感じが、初めて会うた時から
胸に刻みつけられてしまった。ある夏演習林へ林道敷設の実習に行った時の事である。藤....
「田端の汽車そのほか」より 著者:宮本百合子
。バケツをかぶらされてそこの焼あとにのこっている大理石の鴎外は、通りすがった私の
胸に刻みこまれた。 時を経た今、その焼あとは清潔なおかぼの畑になっている。夏の....
「おとずれ」より 著者:国木田独歩
なお一人の乙女知れり、その美しき眼はわが鈍き眼に映るよりもさらに深く二郎が氷れる
胸に刻まれおれり。刻みつけしこの痕跡は深く、凍れる心は血に染みたり。ただかの美し....
「カラマゾフの兄弟」より 著者:ドストエフスキーフィヨードル・ミハイロヴィチ
と見るべきで、けっして軽薄な無分別や浮き世の歓楽のためではないぞ、このことをよく
胸に刻んでおくがよい……」
パイーシイ神父は出て行った、長老は、たとえ一日二日....
「深川女房」より 著者:小栗風葉
お前の家へ寄ったら、お前が繰り返し待ってるからと言ってくれた、それを俺はどんなに
胸に刻んで出かけたろう! けれど、考えて見りゃ誰だってそのくらいのことはお世辞に....
「ファウスト」より 著者:ゲーテヨハン・ヴォルフガング・フォン
や頬のかがやきを、
己は生涯忘れることが出来まい。
あの伏目になった様子が
己の
胸に刻み込まれてしまった。
それからあの手短に撥ね附けた処が、
溜まらなく嬉しい....
「私本太平記」より 著者:吉川英治
武士の名を記憶のままに挙げて行った。それを、道誉はじっと、聞きすまして、いちいち
胸に刻んでいた。 意外な名が、次々に、具行の口から出た。 道誉でさえ、日頃、....