胸を衝く[語句情報] » 胸を衝く

「胸を衝く〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

胸を衝くの前後の文節・文章を表示しています。該当する10件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
仇討禁止令」より 著者:菊池寛
がさっと開かれた。そのとたん、 「何奴じゃ」もう十分用意し切った声が、先手三人の胸を衝くように響いた。 頼母は、すでに怪しい物音に気がつくと、手早く寝間着の上....
省線電車の射撃手」より 著者:海野十三
電車に乗ると、なるべく若い婦人の身近くを選んで座を占める。彼女の生ぐさい体臭や、胸を衝くような官能的色彩に富んだ衣裳や、その下にムックリ盛りあがった肢態などは、....
小説 不如帰 」より 著者:徳冨蘆花
やらぬは、戯れにあらず、狂気せしにもあらで、まさしく分別の上と思えば、驚きはまた胸を衝く憤りにかわりつ。あまり勝手な言条と、罵倒せんずる言のすでに咽もとまで出で....
旅愁」より 著者:横光利一
出そうと決めていたときだけに、親鳥のその姿は、自分の知らぬ部分の母の労苦に見えて胸を衝くものがあった。しかし、今彼は、そのような光景から特殊な意義を見つけたい気....
湯島の境内」より 著者:泉鏡花
刻も先刻、今も今、優しいこと、嬉しいこと、可愛いことを聞くにつけ、云おう云おうと胸を衝くのは、罪も報いも無いものを背後からだまし打に、岩か玄翁でその身体を打砕く....
霧陰伊香保湯煙」より 著者:三遊亭円朝
々尋ねた処が、仲人の私がに悪口吐いて打って掛るから、打たれては間に合いませぬから胸を衝くと逆蜻蛉を打って顛覆ったゞ、ねえまア向うが弱えからだ」 警「何故其の様な....
魔都」より 著者:久生十蘭
印東の傍へ近づくと、鼻で笑って、 「飛んだ岩藤ね」 繊手を伸べて、トンと印東の胸を衝く。 御存知の方もあろう。仏英和女学校の才媛で、この土地から出てからも、....
痀女抄録」より 著者:矢田津世子
の柔毛は如何にも稚を含んでいて好もしいが、その眼、嘴、脚爪の鋭さが何んともいえず胸を衝く。わたくしは寸時眼を逸らしていたが、また、視入った。 この若鷹は斑の彩....
私本太平記」より 著者:吉川英治
た。そして、みだれた頭のうちも、ととのえていた。 まっ先に、不知哉丸のことが、胸を衝く。 しょせん人間は獣でない。 予期もしない戯れの結果にせよ、産みの腹....
柳生月影抄」より 著者:吉川英治
な。どこへ行く」 「おのれ。どうしても、成敗を受けたいのか」 前の者が、大機の胸を衝く。また、左右から利き腕をつかむ。編笠を引きちぎる。――大機はなお、 「何....