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胸中
「胸中〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
胸中の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「忠義」より 著者:芥川竜之介
た。が、苦諫の効がない事は、既に苦い経験を嘗《な》めている。そこで、彼は、今まで
胸中に秘していた、最後の手段に訴える覚悟をした。最後の手段と云うのは、ほかでもな....
「デンマルク国の話」より 著者:内村鑑三
ま》かに彼の故国の地質を研究しました。しかして戦争いまだ終らざるに彼はすでに彼の
胸中に故国|恢復《かいふく》の策を蓄えました。すなわちデンマーク国の欧州大陸に連....
「外科室」より 著者:泉鏡花
ことを恐れて、死をもてこれを守ろうとするなり。良人《おっと》たる者がこれを聞ける
胸中いかん。この言《ことば》をしてもし平生にあらしめば必ず一条の紛紜《ふんぬん》....
「義血侠血」より 著者:泉鏡花
をそのまま低《た》れて、見るべき物もあらぬ橋の上に瞳《ひとみ》を凝らしつつ、その
胸中は二途の分別を追うに忙しかりき。 「これからとはあんまり早急じゃありませんか....
「野菊の墓」より 著者:伊藤左千夫
から、お増なんか何と云ったって、かまやしないさ」 一事件を経《ふ》る度に二人が
胸中に湧いた恋の卵は層《かさ》を増してくる。機に触れて交換する双方の意志は、直《....
「水害雑録」より 著者:伊藤左千夫
生活の革命……八人の児女を両肩に負うてる自分の生活の革命を考うる事となっては、
胸中まず悲惨の気に閉塞されてしまう。 残余の財を取纏めて、一家の生命を筆硯に托....
「生まれいずる悩み」より 著者:有島武郎
がほろほろとあふれ出た。じっとすわったままではいられないような寂寥の念がまっ暗に
胸中に広がった。 君はそっと座を立った。そして弁当を元どおりに包んで腰にさげ、....
「春の潮」より 著者:伊藤左千夫
やったような気になった。臆病に慚愧心が起こって、世間へ出るのが厭で堪らぬ。省作の
胸中は失意も憂愁もないのだけれど、周囲からやみ雲にそれがあるように取り扱われて、....
「化銀杏」より 著者:泉鏡花
と歯をくいしめてすすり泣きつ。 お貞は幾年来独り思い、独り悩みて、鬱積せる
胸中の煩悶の、その一片をだにかつて洩せしことあらざりしを、いま打明くることなれば....
「琵琶伝」より 著者:泉鏡花
ります!」 恐気もなく言放てる、片頬に微笑を含みたり。 尉官は直ちに頷きぬ。
胸中|予めこの算ありけむ、熱の極は冷となりて、ものいいもいと静に、 「うむ、きっ....
「黒百合」より 著者:泉鏡花
。」と気取った代脉が病症をいわぬに斉しい。 わざと打解けて、底気味の悪い紳士の
胸中を試みようとしたお雪は、取附島もなく悄れて黙った。 二人は顔を背け合って、....
「良夜」より 著者:饗庭篁村
け、道々も道中の気遣いを故郷の恋しさと未来の大望とか悲しみ悦び憂いをかわるがわる
胸中に往来したれば、山川の景色も目にはとまらずしてその日の暮がたある宿に着きたり....
「春昼後刻」より 著者:泉鏡花
て直ちに幽冥に趣いたもののようであるが、婦人はまだ半信半疑でいるのは、それとなく
胸中の鬱悶を漏らした、未来があるものと定り、霊魂の行末が極ったら、直ぐにあとを追....
「楠公夫人」より 著者:上村松園
展覧会に出品する画材は、前もって発表するということは興を削ぐので、それだけは私の
胸中にそれを制作する機運の来るまで発表は出来ないけれど、いまここで語っていいもの....
「二葉亭四迷の一生」より 著者:内田魯庵
』第三篇の発表されたのはこれより少し後であった。この三篇を書いていた時はあたかも
胸中の悶々に堪えなくて努力も功名も消えてしまった真最中であった。日記に、「余は今....