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胸元
「胸元〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
胸元の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「空襲葬送曲」より 著者:海野十三
いるぞ。肋骨が折れる、折れる。 「ぎゃーッ」 頭を足蹴にされた。腹にも載った。
胸元を踏みつけては、駆けだしてゆく。あッ、口中へ泥靴を……。 あとは、なにがな....
「蠅」より 著者:海野十三
――さて、前段の文章は、途中で切れてしまったが、まったく申訳がない。実は急に
胸元が悪くなって、嘔吐を催したのだ。そして軽い脳貧血にさえ襲われた。私は皆の薦め....
「恐怖の口笛」より 著者:海野十三
に注文して特に作らせたという精巧なものだった。――その機関銃の銃口が、警官たちの
胸元を覘った。 「急ぎ撃てッ」 武装隊長は咄嗟に射撃号令をかけた。 ドドーン....
「三人の双生児」より 著者:海野十三
ブルと震わせ始めた。それは持病の発作が急に起ってきたものらしかった。彼は苦しげに
胸元を掻きむしり、畳の上を転々として転がった。あまりに着物を引張るので、その垢じ....
「蠅男」より 著者:海野十三
のか」 そう云って蠅男はじりじりと前進し、垂れている左腕を静かに挙げて、帆村の
胸元目がけて突き出した。それは黒光りのする腕のようでありながら、まるでぎこちない....
「渾沌未分」より 著者:岡本かの子
つろな声。――あわれな父とそしてあわれな娘。 小初は父の脱いだ薄い蒲団をそっと
胸元へ掛け直してやった。 小初は闇のなかでぱっちり眼を開けているうちに、いつか....
「母子叙情」より 著者:岡本かの子
で堪らなくなった。かの女の堰きとめかねるような哀憐の情がつい仕草に出て、規矩男の
胸元についているイラクサの穂をむしり取ってやった。高等学校の制服を、釦がはち切れ....
「地球要塞」より 著者:海野十三
人的な力をもって、今もなお私の脳髄に、不思議な力を働かせているのではないか。私は
胸元をしめつけられるような苦しさに襲われ、はっと目ざめて、長椅子からとび上った。....
「棺桶の花嫁」より 著者:海野十三
かかるような姿勢で、杜の方に、身体をねじ向けた。青白い蝋の塊のような肉づきのいい
胸元に、水色の半襟のついた膚襦袢がからみついていた。 「手、手、手だ。手を抜いて....
「わがまま」より 著者:伊藤野枝
汽車は走っていく。 嫌な方に嫌な方にとずるずる引きずられていく――登志子はもう
胸元にこみ上げてくる何物かがグッと上がると、すぐにもそれが頭をつきぬけてすっとこ....
「開扉一妖帖」より 著者:泉鏡花
れ淙々たる巡査である。御先祖の霊前に近く、覚悟はよいか、嬉しゅうござんす、お妻の
胸元を刺貫き――洋刀か――はてな、そこまでは聞いておかない――返す刀で、峨々たる....
「星女郎」より 著者:泉鏡花
に一人立って、こっちへ指さしをして笑ったものがある。エエ、と剣を取って飛ばすと、
胸元へ刺さって、ばったり、と朽木倒。 するする攀上って、長船のキラリとするのを....
「明日」より 著者:井上紅梅
ので、彼女はこわごわさわってみると、膠のような水が指先に粘りつき、あわてて小さな
胸元でなでおろしたが何の響もない。彼女はこらえ切れず泣き出した。 寶兒は息の平....
「悪因縁の怨」より 著者:江見水蔭
風に少しは焼けているが、それでも生地は白いと見えて、浴衣の合せ目からチラと見える
胸元は、磨ける白玉の艶あるに似たり。それに髪の濃いのが、一入女振を上げて見せて、....
「女の膝」より 著者:小山内薫
に床に入った、ところが、やがて昨晩と、殆んど同じくらいな刻限になると、今度は突然
胸元が重苦しく圧されるようになったので、不図また眼を開けて見ると、再度吃驚したと....