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胸前
「胸前〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
胸前の前後の文節・文章を表示しています。該当する7件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「旗本退屈男」より 著者:佐々木味津三
いいや。いらぬ。その代りちと変った供をつれて参ろう。土蔵へ行けばある筈じゃ。馬の
胸前持って参って、駕籠につけい」 「
胸前?」 「馬の前飾りじゃ。菊、存じておろう....
「道標」より 著者:宮本百合子
色どりは……」
伸子は布地をひろげて、これはカラーの部分、これはカフス、これは
胸前のたての襟になるところ、と、ルバーシカが仕立あがったときの形に、刺繍された布....
「渋江抽斎」より 著者:森鴎外
髯が濃いので、少女は顋を頭と視たのである。優はこの容貌で洋服を著け、時計の金鎖を
胸前に垂れていた。女主人が立派だといったはずである。 或土曜日に優が夕食頃に来....
「売色鴨南蛮」より 著者:泉鏡花
ッくりと窪んで暗い、崕と石垣の間の、遠く明神の裏の石段に続くのが、大蜈蚣のように
胸前に畝って、突当りに牙を噛合うごとき、小さな黒塀の忍び返の下に、溝から這上った....
「歌行灯」より 著者:泉鏡花
几に近く裾を投げて、向うに腰を掛けた女房にも、目もくれず、凝と天井を仰ぎながら、
胸前にかかる湯気を忘れたように手で捌いて、 「按摩だ、がその按摩が、旧はさる大名....
「安死術」より 著者:小酒井不木
の音が胸を抉るように響き渡りました。義夫は俯向きに崖下の岩にぶつかったと見え、右
胸前部の肋骨が三四本折れ、拳を二つ重ねた程の大さの、血に塗れた凹みが出来ておりま....
「活人形」より 著者:泉鏡花
奄々と、無何有の里に入りつつも、刀尋段々壊と唱うる時、得三は白刃を取直し、電光|
胸前に閃き来りぬ。この景この時、室外に声あり。 「アカギサン、トクゾウサン。」 ....