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胸壁
「胸壁〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
胸壁の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「雪中富士登山記」より 著者:小島烏水
焦げた岩が、平板状に縞を作った火口壁が、手の達《とど》くほど近く見え、鉛のように
胸壁に落ちている雪は、銀の顫《おのの》くように白く光って、叩けばカアンと音がしそ....
「雪の白峰」より 著者:小島烏水
められる、そのとき鳥の形が、農鳥山の頂上より、直下、少しも左右に偏することなく、
胸壁の上に印せられるので、この鳥形が見え初めると、農にかかるから、農鳥山の名を獲....
「白妖」より 著者:大阪圭吉
が、路面は全く乾燥していて、何処から滑り落ちたか車の跡さえ判らない。せめて道端に
胸壁でもあって、それが壊れていれば墜落個所の見当はつくのだが、この道は人の通らな....
「田原坂合戦」より 著者:菊池寛
めたてた。しかし一塁を抜いたと思うとすぐ奪還される始末なので、こちらにも、塹壕、
胸壁が必要であるとて、工兵が弾雨の間を作業した。薩軍の塁に近いのは僅かに二十六米....
「恋愛曲線」より 著者:小酒井不木
けてエーテル麻酔をかける。兎が十分麻酔した時機を見はからって、メスと鋏とを以て、
胸壁の心臓部を出来るだけ広く切り取り、然る後心臓嚢を切り開くと、そこに、盛んに活....
「放浪の宿」より 著者:里村欣三
た。と、支那服の手が、その溢れ出た臓腑をかき分けて、胸骨の間に辷り込んで、二三度
胸壁を指さきで抉ぐると、綺麗に二つの肺臓がはがれて、肝臓や胃袋などと一緒くたに濡....
「明治開化 安吾捕物」より 著者:坂口安吾
もよるのだが、空を吹く風には植物鉱物動物どもの雑な呼吸がこもっているから吸う人の
胸壁をむしばむ悪作用があると信じて疑わぬオモムキがあった。 庭木戸をあけてヒョ....
「少年連盟」より 著者:佐藤紅緑
かんぬきがはめられて、戸の内がわには大石が運ばれ、スワといえば、これを積みあげて
胸壁に使用する、戸のわきには窓があけられ、サクラ号から持ってきた、二門の大砲がす....
「スリーピー・ホローの伝説」より 著者:アーヴィングワシントン
フュー・マートリングという青ひげを生やした大男のオランダ人の話では、泥でつくった
胸壁から、九ポンド弾の古い鉄の大砲をぶっぱなして、イギリスの軍艦をあやうく撃沈し....
「岩魚」より 著者:佐藤垢石
し万太郎山との間に割り込んだ深渓から源を発している水量豊富な、そして恐ろしく高い
胸壁の底を縫って出る人跡を寄せつけぬ渓流である。谷川岳と万太郎山との南面の山襞に....
「三つの痣」より 著者:小酒井不木
せんでした。私は、今に段々恐怖を増して行くであろう所の彼の心を想像しながら、先ず
胸壁にメスを当て、皮膚、脂肪層、筋肉層を開き、肋骨を特種の鋏で切り破り、
胸壁に孔....
「鼻に基く殺人」より 著者:小酒井不木
、自分もビスケットを食べながら、一度は傷いたことのある肺臓へ、今はふっくりとした
胸壁を上下させながら、春の空気を思う存分呼吸した。弟の弘と二人暮しの閑寂な生活で....
「火と氷のシャスタ山」より 著者:小島烏水
ではあるが、烈々と美を噴く熔炉になっている。その美の泉を結晶したものは、絶頂から
胸壁へと、こびりついているところの、氷河である。汽車の窓からも、その中の最大(と....
「一ノ倉沢正面の登攀」より 著者:小川登喜男
くとそれは深く刳れていてそれについて行く事は出来ないので、そのまま上の草の混った
胸壁を登り続ける。 その辺の傾斜は六十度余で、岩角で確保しながらほとんど平にな....
「城」より 著者:カフカフランツ
何か気ちがいめいた趣きがあった――さらに塔の尖端はバルコニー風になっていて、その
胸壁が、まるでおどおどした子供の手か投げやりな子供の手で描かれたように、不確かな....