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「胸毛〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

胸毛の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
或る女」より 著者:有島武郎
いかと思案するらしく立っていた。そこを通り抜けて自分の部屋《へや》に来て見ると、胸毛《むなげ》をあらわに襟《えり》をひろげて、セルの両|袖《そで》を高々とまくり....
箕輪心中」より 著者:岡本綺堂
駕籠の垂簾《たれ》を覗こうとする時に、白粉《おしろい》のはげた彼女の襟もとに鳥の胸毛のような軽い雪がふわりふわりと落ちて来た。 けさのこうした別れのありさまを....
人外魔境」より 著者:小栗虫太郎
か――。そこに、アメリカ地理学協会が建てた丸太小屋がならんでいて、いまダネックが胸毛をあおぎながら、木戸の最期のさまを折竹に話している。 「しかしだよ、木戸君の....
地球発狂事件」より 著者:海野十三
の釦《ボタン》を引《ひ》き千切《ちぎ》るように外した。ワイシャツの下からドレゴの胸毛が見え出したときに、ドレゴは始めて呻り声をあげた。 「おお、気がついた。どう....
二、三羽――十二、三羽」より 著者:泉鏡花
のあこがれようと言ったらない。あの声がキイと聞えるばかり鳴き縋って、引切れそうに胸毛を震わす。利かぬ羽を渦にして抱きつこうとするのは、おっかさんが、嘴を笊の目に....
朱日記」より 著者:泉鏡花
て、カチカチと、何か、歯をくいしめて堪えたが、突込む筆の朱が刎ねて、勢で、ぱっと胸毛に懸ると、火を曳くように毛が動いた。 「あ熱々!」 と唐突に躍り上って、と....
黒死館殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
です。美しい近衛胸甲騎兵の行進ではなくて、あの無分別者ぞろいの、短上衣をはだけて胸毛を露き出して、ぷんぷん鹿が落した血の跡を嗅ぎ廻るといった、黒色猟兵だったので....
薬草取」より 著者:泉鏡花
に投げて、両提の煙草入、大きいのをぶら提げて、どういう気か、渋団扇で、はたはたと胸毛を煽ぎながら、てくりてくり寄って来て、何処へ行くだ。 御山へ花を取りに、と....
草迷宮」より 著者:泉鏡花
ょうどあの、活動写真の難船見たよう、波風の音もせずに漂うていましたげな。両膚脱の胸毛や、大胡坐の脛の毛へ、夕風が颯とかかって、悚然として、皆が少し正気づくと、一....
神鷺之巻」より 著者:泉鏡花
わりに、細長い鳥の嘴を握っていて、俎の上には、ただ腹を解いた白鷺が一羽。蓑毛も、胸毛も、散りぢりに、血は俎の上と、鷺の首と、おのが掌にたらたらと塗れていた。 ....
縁結び」より 著者:泉鏡花
に、山を背負って、むずと掴まった、大きな鳥の翼があった。狸のごとき眼の光、灰色の胸毛の逆立ったのさえ数えられる。 「梟だ。」 とからからと笑って、帯をぐるぐる....
夢は呼び交す」より 著者:蒲原有明
眼をやって、盞をふくむ。酒を飲んでくつろげばくつろぐほど胸元がはだけて、そこから胸毛をのぞかせる。それぐらい花袋は肥っているのである。妓のおもかげと酒とが三昧境....
」より 著者:岡本かの子
つけている。眉毛は柔く曳いていても、人間の婦人の毛としての性はなく、もろい小鳥の胸毛のように憐れな狂女の運命を黙祷している。不自然に結んだ唇からは、殆ど生きた人....
藤十郎の恋」より 著者:菊池寛
白絖の夜着を取出すと、藤十郎の背後に廻りながら、ふうわりと着せかけた。 白鳥の胸毛か何かのように、暖い柔かい、夜着の感触を身体一面に味った時、藤十郎のお梶に対....
雪柳」より 著者:泉鏡花
手繰るや否や、肥っているから、はだかった胸へ腋の下まで突込んだ、もじゃもじゃした胸毛も、腋毛も、うつくしい、情ない、浅間しい、可哀相な婦を揉みくたにして、捻込ん....