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胸裏
「胸裏〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
胸裏の前後の文節・文章を表示しています。該当する13件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「草枕」より 著者:夏目漱石
に詩も生き、歌も湧《わ》く。着想を紙に落さぬとも※鏘《きゅうそう》の音《おん》は
胸裏《きょうり》に起《おこ》る。丹青《たんせい》は画架《がか》に向って塗抹《とま....
「野分」より 著者:夏目漱石
――今日は風が吹く。昨日《きのう》も風が吹いた。この頃の天候は不穏である。しかし
胸裏《きょうり》の不穏はこんなものではない」 道也先生は、がたつく硝子窓《ガラ....
「作物の批評」より 著者:夏目漱石
で相容《あいい》れぬと云う事実も認め得るかも知れぬ――批評家は反対の趣味も同時に
胸裏《きょうり》に蓄える必要がある。 物理学者が物質を材料とするごとく、動物学....
「倫敦塔」より 著者:夏目漱石
を眼前に控《ひか》えておった。いかにせば生き延びらるるだろうかとは時々刻々彼らの
胸裏《きょうり》に起る疑問であった。ひとたびこの室《へや》に入《い》るものは必ず....
「科学者と芸術家」より 著者:寺田寅彦
は夢幻的なものもあるが、しかしこれが文学的作品として成立するためにはやはり読者の
胸裏におのずから存在する一種の方則を無視しないものでなければならない。これを無視....
「明治座の所感を虚子君に問れて」より 著者:夏目漱石
慣れて来たら、ようやく役者の主意の存するところもほぼ分って来たので、幾分か彼我の
胸裏《きょうり》に呼応する或ものを認める事ができたが、いかんせん、彼らのやってい....
「案内者」より 著者:寺田寅彦
違っている場合でさえも、書いた人の真を求める魂だけは力強く読者に訴え、読者自身の
胸裏にある同じようなものに火をつける。そうして誌された内容とは無関係にそこに取り....
「俳諧の本質的概論」より 著者:寺田寅彦
意識の言葉に翻訳するとそれが必然的な推移であって、しかもその推移がその夢の作者の
胸裏の秘密のある一面の「流行の姿」を物語ることになるのである。ここにも「虚実の出....
「レ・ミゼラブル」より 著者:豊島与志雄
、地球全体もこの連邦議員を有するに至るだろう。フランスは実に、この崇高なる未来を
胸裏にいだいている。それが十九世紀の懐妊である。ギリシャによって描かれたその草案....
「曙覧の歌」より 著者:正岡子規
張的にその貧を文字に綴《つづ》るもまた普通のことなり。しこうしてその文字の中には
胸裏に蟠《わだかま》る不平の反応として厭世《えんせい》的または嘲俗《ちょうぞく》....
「草紅葉」より 著者:永井荷風
明るい昼の夢のようであった。 一たび家を失ってより、さすらい行く先々の風景は、
胸裏に深く思出の種を蒔《ま》かずにはいなかった。その地を去る時、いつもわたくしは....
「本朝変態葬礼史」より 著者:中山太郎
日分の食物を用意しただけであつたと云う。この知らせを受けた鎌倉中の武士は智定房の
胸裏を察して悲嘆したとある。古歌の『執れば憂し執らねば物の数ならず、棄つべきもの....
「私本太平記」より 著者:吉川英治
、聖断を晦くしたてまつるべきではない――と、これは河内を出るときからの彼のかたい
胸裏であった。 「はい、正成が申しあげたい儀も、一にその作戦のほかではございませ....