» 胸騒

「胸騒〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

胸騒の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
第二菎蒻本」より 著者:泉鏡花
こで逢うのに無事では済むまい、――お互に降って湧くような事があろう、と取越苦労の胸騒がしたのであった。 「御免。」 と思切って声を掛けた時、俊吉の手は格子を圧....
多神教」より 著者:泉鏡花
きました。私がちょっとでも立離れます間に――今日はまたどうした事でございますか、胸騒ぎがしますまで。…… 禰宜 いや、胸騒ぎが凄じい、男を呪詛うて、責殺そうとす....
夜叉ヶ池」より 著者:泉鏡花
、来る年の首途にしよう。帰り風が颯と吹く、と身体も寒くなったと云う。私もしきりに胸騒ぎがする。すぐに引返して帰ったんだよ。(と穏に、百合に向って言い果てると、す....
」より 著者:井上紅梅
に何物かを注ぎ込み、彼の身体から何物かを取出そうとするらしい。そう思うと抑え難き胸騒ぎがしてまた一しきり咳嗽込んだ。 「横になって休んで御覧。――そうすれば好く....
恐怖の口笛」より 著者:海野十三
から、懸命になって、何ものかを探し求めて歩いていたらしい。 「どうして、こんなに胸騒ぎがするのだろう」 青年は心の落付きをとりかえすためであろうか、ポケットか....
密林荘事件」より 著者:海野十三
、その場所を放れて帰途についたのです。で、山荘の近くまで来たとき、僕は急に何だか胸騒ぎがしてきたので、山荘の十間ほど手前から駆け出して、家へ飛込みました。玄関の....
取返し物語」より 著者:岡本かの子
『源兵衛さま』 源兵衛『おくみ』 おくみ『ほんにたまさか逢瀬の一夜。その上なにか胸騒ぎがしてすこしでも長くあなたに引添うて、離れとうもござりませぬ』 源兵衛『わ....
公園の花と毒蛾」より 著者:小川未明
、やってくるでしょう。」と、みつばちはいいました。 とこなつの花は、なんとなく胸騒ぎを感じた。 「みつばちさん、そんなら、一|昨夜、たくさんきた蛾は、毒蛾なん....
青春の逆説」より 著者:織田作之助
れが彼女の美貌を証拠だてるというわけである。豹一の魅力を以てしても、結婚を迎える胸騒がしい彼女の気持に打ち勝つことは出来なかった。それに、もともと豹一にはたった....
土曜夫人」より 著者:織田作之助
行き、京吉の夜歩きも常規を逸していたが、今夜の陽子もいつもの陽子ではなく、妖しく胸騒いでいた。 そして、坂野の細君の芳子も何か狂気じみていた――その証拠には、....
面会」より 著者:織田作之助
だが、墨が雨に流されて、字が判別しかねた。空しく探し求めていると、だんだんに私は胸騒ぎを覚えた。Sも私を待ち焦れているだろうと思うと、胸騒ぎは一層激しくなった。....
わが町」より 著者:織田作之助
た。 「そうオ?」 自分の知らぬ間にそんな話が起っていたのかと、君枝はどきんと胸騒いで、二十歳という年齢が改めてくすぐったく想いだされたが、あまい気持はなかっ....
死者の書」より 著者:折口信夫
のなぞえについて、次第に首をあげて行った。 二上山。ああこの山を仰ぐ、言い知らぬ胸騒ぎ。――藤原・飛鳥の里々山々を眺めて覚えた、今の先の心とは、すっかり違った胸....
父の出郷」より 著者:葛西善蔵
る手紙もいいことはなかった。寺の裏の山の椎の樹へ来る烏の啼き声にも私は朝夕不安な胸騒ぎを感じた。夏以来やもめ暮しの老いた父の消息も気がかりだった。まったく絶望的....
なよたけ」より 著者:加藤道夫
生はもしかしたらこのまま終ってしまうんじゃないかしら?……あたし、さっきから変な胸騒ぎがするの。何か分らない不吉な胸騒ぎがするの。……文麻呂! あたしはもうこの....