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胸高
「胸高〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
胸高の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「卑怯者」より 著者:有島武郎
て苦い顔をした。人通りがあるかないかも気にとめなかった。噛《か》み合うように固く
胸高に腕ぐみをして、上体をのめるほど前にかしげながら、泣かんばかりの気分になって....
「星座」より 著者:有島武郎
数字の連なりが眼の前で躍りはじめた。渡瀬はしたり顔に一度首をかしげると、堅く腕を
胸高に組合せて霜の花でもちらちら飛び交わしているかと冴えた寒空の下を、深く考えこ....
「国貞えがく」より 著者:泉鏡花
》ではないが、紺の筒袖《つつそで》の上被衣《うわっぱり》を、浅葱《あさぎ》の紐で
胸高《むなだか》にちょっと留《と》めた甲斐甲斐《かいがい》しい女房ぶり。些《ち》....
「婦系図」より 著者:泉鏡花
衣にかさなって、紫の矢絣の、色の薄いが鮮麗に、朱緞子に銀と観世水のやや幅細な帯を
胸高に、緋鹿子の背負上げして、ほんのり桜色に上気しながら、こなたを見入ったのは、....
「吉原新話」より 著者:泉鏡花
揃って大時計の前へ立佇った……いや三階でちょっとお辞儀をするわ。薄暗い処へ朦朧と
胸高な扱帯か何かで、寂しそうに露れたのが、しょんぼりと空から瞰下ろしているらしい....
「春昼」より 著者:泉鏡花
をぶらりと二尺ぐらい、こぶらの辺までぶら下げたのと、緋縮緬の扱帯をぐるぐる巻きに
胸高は沙汰の限。前のは御自分ものであろうが、扱帯の先生は、酒の上で、小間使のを分....
「革鞄の怪」より 著者:泉鏡花
深くさし入れた頤で幽に頷いたのが見えて、手を膝にしたまま、肩が撓って、緞子の帯を
胸高にすらりと立ったが、思うに違わず、品の可い、ちと寂しいが美しい、瞼に颯と色を....
「薄紅梅」より 著者:泉鏡花
ぎれのした昼夜帯も(お互に貧乏で、相向った糸七も足袋の裏が破れていた。)きちんと
胸高なお太鼓に、一銭が紫粉で染返しの半襟も、りゅうと紗綾形見せたであろう、通力自....
「照葉狂言」より 著者:泉鏡花
ずつ掛けて、右左に立護りぬ。小親この時は楽屋着の裾長く緋縮緬の下着踏みしだきて、
胸高に水色の扱帯まといたり。髪をばいま引束ねつ。優しき目の裡凜として、 「もし、....
「黒百合」より 著者:泉鏡花
中形の浴衣に繻子の帯の幅狭なのを、引懸けに結んで、結んだ上へ、桃色の帯揚をして、
胸高に乳の下へしっかと〆めた、これへ女扇をぐいと差して、膝の下の隠れるばかり、甲....
「星女郎」より 著者:泉鏡花
には、淡いが彩があって、髪が黒く、俤が白い。帯の色も、その立姿の、肩と裾を横に、
胸高に、細りと劃って濃い。 道は二町ばかり、間は隔ったが、翳せばやがて掌へ、そ....
「瓜の涙」より 著者:泉鏡花
たように隆い。 縞目は、よく分らぬ、矢絣ではあるまい、濃い藤色の腰に、赤い帯を
胸高にした、とばかりで袖を覚えぬ、筒袖だったか、振袖だったか、ものに隠れたのであ....
「活人形」より 著者:泉鏡花
見るもいぶせき血の汚点たるを、乱次無く打纏い、衣紋開きて帯も占めず、紅のくけ紐を
胸高に結びなし、脛も顕わに取乱せり。露垂るばかりの黒髪は、ふさふさと肩に溢れて、....
「越年」より 著者:岡本かの子
て、女学校卒業以来二年間、余り手も通さなかった裾模様の着物を着て金模様のある帯を
胸高に締めた。着なれない和服の盛装と、一旦途切れて気がゆるんだ後の冒険の期待とに....
「扉の彼方へ」より 著者:岡本かの子
「気に入りましたわ。平凡なところが」 私はこんな返事をしながら、良人があまりに
胸高に締め過ぎた帯を後からそっと掴み下げてやるほど、形だけは遠慮がとれた妻になっ....