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能事
「能事〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
能事の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「想片」より 著者:有島武郎
めて合理的でかつ都合のよいことではあろうけれども、私としては、それがとうてい不可
能事であるのを感ずるのだ。ある種の人々はわりあいに簡単にそうなりきったと信じてい....
「水害雑録」より 著者:伊藤左千夫
、子供は続々とできてくる。年中あくせくとして歳月の廻るに支配されている外に何らの
能事も無い。次々と来る小災害のふせぎ、人を弔い己れを悲しむ消極的|営みは年として....
「惜みなく愛は奪う」より 著者:有島武郎
によってのみ成就される長い旅に上らなければならない。 私はよくそれが如何に不可
能事に近いとさえ思われる困難な道であるかを知る。私もまたその狂いの中に生れて育っ....
「去年」より 著者:伊藤左千夫
君と僕だけ境遇が違っては、互いに心裏をくまなくあい解するなどいうことはついに不可
能事であろうと思うのである。 むろん僕の心をもってしては、君の心裏がまたどうし....
「二十五年間の文人の社会的地位の進歩」より 著者:内田魯庵
だけの報償を文人に与えずして三文文学だのチープ・リテレチュアだのと冷罵するのみを
能事としていて如何して大文学の発現が望まれよう。文学として立派に職業たらしむるだ....
「鬼仏洞事件」より 著者:海野十三
五六メートルも離れた位置より、彼等の内の何人たりとも何某の首を切断することは不可
能事である。況んや、彼等の手に、一本の剣も握られていないことは、この写真の上に、....
「十二神貝十郎手柄話」より 著者:国枝史郎
中田沼侯の下屋敷の庭へ、外から忍んで入るというようなことは、考えにも及ばない不可
能事のように、今日では想像されるけれど、あながちそうでもないのであって、鼠小僧と....
「勧善懲悪」より 著者:織田作之助
だとわかる。また、保証金没収の一件にしても、そうだ。 一万九千円を握っただけで
能事足れりとするような、けちな肚ならともかく、いくら何でも、そんな非合法な、かつ....
「八犬伝談余」より 著者:内田魯庵
う。無論、芸術というは蟻が塔を積むように長い歳月を重ねて大きなものを作るばかりが
能事ではない。が、この大根気、大努力も決して算籌外には置かれないので、単にこの点....
「旅客機事件」より 著者:大庭武年
しろ、彼を一人秀岡が知らぬ間に、便所におびき寄せ、そこから突き落すと言う事も不可
能事ではない。孰れにせよ、兇行は邪魔者がいなくなってから、油断をみすまして一撃の....
「日本画と線」より 著者:上村松園
、とんとこの線ということに放縦になりまして、むやみとこてこて色を塗ることばかりを
能事としている方が多くなったように見受けられます。 日本画の線は、その走り具合....
「「日本民族」とは何ぞや」より 著者:喜田貞吉
、これを征伐し給うのやむなき場合も少くはなかったが、それにしても決して殺戮をこれ
能事となし、敵を滅ぼすを以て目的となし給うというが如きことは、古史の決して言わざ....
「法隆寺再建非再建論の回顧」より 著者:喜田貞吉
条の火災の記事の、確実疑うべからざるものである事を証明しさえすれば、それで余輩の
能事終れりとしたものであった。したがってまず以て記録上より立てられた一切の法隆寺....
「伝不習乎」より 著者:北大路魯山人
味を忘却し去って、やわらかければよいというので、ただやわらかくつくることをもって
能事のようにしてしまう。もう一つは経済的事情からか安ければよいということがモット....
「茶美生活」より 著者:北大路魯山人
しかし、それはそれたりに、なんらか学ぶところもあろうが、かような盲学問をもって
能事となすは邪道である。いかに学者ではあっても、塙保己一では、茶人の仲間入りは不....