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脇目
「脇目〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
脇目の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「非凡なる凡人」より 著者:国木田独歩
までけっして乱雑に置いてはない。で彼は日曜のいい天気なるにもかかわらず何の本か、
脇目《わきめ》もふらないで読んでいるので、僕はそのそばに行って、 「何を読んでい....
「癩」より 著者:島木健作
平然たる顔つきをし、運動の時にはもう長い間、何回も歩き慣れた道のように、さっさと
脇目《わきめ》もふらずかの花園の間の細道を歩くのである。どこかえたいの知れない所....
「新生」より 著者:島崎藤村
うものまでも一緒に覆してしまった。
しかし岸本はもっと広い自由な世界をめがけて
脇目《わきめ》もふらずに急ごうとした。仮令《たとえ》親戚から離れ、人から爪弾《つ....
「春の潮」より 著者:伊藤左千夫
ないでしょうが、わたしはとうから覚悟をきめています。今さらどのような事があろうと
脇目を振る気はないんですから」 お千代はわけもなくおとよのために泣いて、真から....
「待つ」より 著者:太宰治
怒っているような顔をして、パスを出したり、切符を手渡したり、それから、そそくさと
脇目も振らず歩いて、私の坐っているベンチの前を通り駅前の広場に出て、そうして思い....
「黄金虫」より 著者:佐々木直次郎
るにちがいない、ということを考えないではいられなかった。 二時間のあいだ我々は
脇目《わきめ》もふらずに掘った。ほとんどものも言わなかった。いちばん困ったことは....
「火星探険」より 著者:海野十三
声をあげて、後から張とネッドの名を呼んだ。 張とネッドは、それが聞えないのか、
脇目もふらず自動車にしがみついて、スピードを出していた。そしてやたらに後のエキゾ....
「英本土上陸作戦の前夜」より 著者:海野十三
な空中の祭典を展開した。 「大丈夫、ボジャック」 「大丈夫!」 二人の戦士は、
脇目もふらず、標識灯を守りつづけている。 砲撃目標が、だんだん山の方に近づいて....
「死者の書」より 著者:折口信夫
鳥の里々山々を眺めて覚えた、今の先の心とは、すっかり違った胸の悸き。旅の郎女は、
脇目も触らず、山に見入っている。そうして、静かな思いの充ちて来る満悦を、深く覚え....
「宝島」より 著者:佐々木直次郎
確にわかった。 四つん這いになって這いながら、私は彼等の方へそろそろと、しかし
脇目もふらずに進んで行った。とうとう、木の葉の隙間へ頭を上げると、沼のそばに、樹....
「小さな出来事」より 著者:寺田寅彦
、また得てもそれを発表しないで死んでしまった者も沢山あるかもしれない。そんな人は
脇目にはこの簑虫と変ったところはなかったかもしれない。 こんな空想に耽りながら....
「初冬の日記から」より 著者:寺田寅彦
が不揃いに鼠でも齧ったような形になっているのが妙に眼について印象に残った。少女は
脇目もふらずにゆっくり楽屋口の方へ歩いて行く。やはりそれに相違なかったのである。....
「春」より 著者:岡本かの子
て居た。とうとう来なかった。一週間目の夕方から京子はひどく不機嫌に憂鬱になった。
脇目にもはっきりとそれが判った。加奈子はお民と一緒に京子の部屋へ詰め切りで、何か....
「凍るアラベスク」より 著者:妹尾アキ夫
径一間もある車輪が音も立てずに廻転し、長いベルトが凄じい勢いで滑って、数人の男が
脇目もふらず働いていた。 しかし警部に取って最も興味があったのは、銀三の部屋で....
「黒部川奥の山旅」より 著者:木暮理太郎
する。遅れ勝な私達は自然獣の足跡を慕う猟夫のように、水を噴いた草鞋の痕に跟いて、
脇目もふらず辿って行く、早月川の谷を下りた時のことが不図思い出された。 水を渡....