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脈
「脈〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
脈の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「偸盗」より 著者:芥川竜之介
くま》の爺《おじ》と懸想された猪熊のばばと、――太郎は、おのずから自分の顔に、一
脈の微笑が浮かんで来るのを感じたのである。
「そのうちに、わしはおばばに情人《お....
「大導寺信輔の半生」より 著者:芥川竜之介
に――穴蔵大工の女の子に固い乳房を吸って貰った。乳房は盛り上った半球の上へ青い静
脈をかがっていた。はにかみ易い信輔はたとい吸うことは出来たにもせよ、到底叔母の乳....
「玄鶴山房」より 著者:芥川竜之介
。お芳は四五年以前には円まると肥《ふと》った手をしていた。が、年は彼女の手さえ静
脈の見えるほど細らせていた。それから彼女が身につけたものも、――お鈴は彼女の安も....
「戯作三昧」より 著者:芥川竜之介
だ。そうしてまたその前の前を読んだ。
しかし読むに従って拙劣な布置《ふち》と乱
脈な文章とは、次第に眼の前に展開して来る。そこには何らの映像をも与えない叙景があ....
「母」より 著者:芥川竜之介
少想像が出来ないでもない。そう云えば病的な気がするくらい、米噛《こめか》みにも静
脈《じょうみゃく》が浮き出している。
「ね、好《い》いでしょう。……いけなくて?....
「或敵打の話」より 著者:芥川竜之介
に日を送った。しかし吐瀉は止まなかった。喜三郎はとうとう堪え兼ねて、一応医者の診
脈《しんみゃく》を請うべく、ようやく病人を納得させた。そこで取りあえず旅籠《はた....
「女体」より 著者:芥川竜之介
光をうけている部分は、融けるような鼈甲色《べっこういろ》の光沢を帯びて、どこの山
脈にも見られない、美しい弓なりの曲線を、遥《はるか》な天際に描《えが》いている。....
「或日の大石内蔵助」より 著者:芥川竜之介
うてき》な考えは、少しもはいって来なかった。彼はただ、春風《しゅんぷう》の底に一
脈の氷冷《ひれい》の気を感じて、何となく不愉快になっただけである。
しかし、内....
「お律と子等と」より 著者:芥川竜之介
言葉を遮《さえぎ》った。
「それがいかんですな。熱はずんずん下《さが》りながら、
脈搏は反《かえ》ってふえて来る。――と云うのがこの病の癖なんですから。」
「なる....
「青年と死」より 著者:芥川竜之介
いない。己は生きたいのだ。どうか己にもう少し生を味わせてくれ。己はまだ若い。己の
脈管にはまだ暖い血が流れている。どうか己にもう少し己の生活を楽ませてくれ。
男 ....
「素戔嗚尊」より 著者:芥川竜之介
にこそ手をかけて見たが、まだ体は悠々と独木舟の舷に凭せていた。
その内に舟は水
脈《みお》を引いて、次第にそこへ近づいて来た。すると一枚岩の上にいるのも、いよい....
「侏儒の言葉」より 著者:芥川竜之介
床的でなければならぬ筈《はず》である。しかも彼等は未《いま》だ嘗《かつ》て人生の
脈搏《みゃくはく》に触れたことはない。殊に彼等の或るものは英仏の文芸には通じても....
「夢」より 著者:芥川竜之介
女の乳房《ちぶさ》はまるまると綺麗《きれい》にふくらんで行った。それはかすかに静
脈を浮かせた、薄光りのしている乳房だった。わたしは彼女を絞め殺すことに何のこだわ....
「佐藤春夫氏の事」より 著者:芥川竜之介
ものなきにあらず、哲学を寓するもの亦なきにあらざれど、その思想を彩るものは常に一
脈の詩情なり。故に佐藤はその詩情を満足せしむる限り、乃木大将を崇拝する事を辞せざ....
「墓」より 著者:秋田滋
、――こう思われてならないのでした。彼女はその身うちに何かしらわたくしの精神と一
脈相通じるものを有っていたのであります。 彼女は、わたくしの魂が放った「おう」....