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脉
「脉〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
脉の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「母子叙情」より 著者:岡本かの子
の眼の前に現実を突きつけるように意地悪く云い放ちながら、握った手では母親の怯えの
脉をみていた。かの女には独りで異国に残るむす子の悲壮な覚悟が伝わって来て身慄いが....
「河明り」より 著者:岡本かの子
腹の中で感心してますと、どうでしょう、それはわたしが本当に酔ってるか酔ってないか
脉を見たのですわ。それから手首を離して、そこにあった盃を執り上げると、ちょろりと....
「菊模様皿山奇談」より 著者:三遊亭円朝
りやすので、諸方へ頼まれて往きますが、年い老って居るから診ようが丁寧だてえます、
脉を診るのに両方の手を押めえて考えるのが小一時もかゝって、余り永いもんだで病人が....
「怪談牡丹灯籠」より 著者:三遊亭円朝
の知己を頼って行く途中、幸手の宿屋で相宿の旅人が熱病で悩むとて療治を頼まれ、其の
脉を取れば運よく全快したが、実は僕が治したんじゃアねえ、ひとりでに治ったんだが、....
「蒲生氏郷」より 著者:幸田露伴
った長氏に起って、生の麦を直《すぐ》に炊けるものだと思っていた氏政に至って、もう
脉《みゃく》はあがった。麦の炊きようも知らない分際で、台所奉行から出世した関白と....
「木の子説法」より 著者:泉鏡花
すから、まやかし病院の代診なぞには持って来いで、あちこち雇われもしたそうですが、
脉を引く前に、顔の真中を見るのだから、身が持てないで、その目下の始末で。…… ....
「第二菎蒻本」より 著者:泉鏡花
さあ、お前さん、」 と引立てるようにされて、染次は悄々と次に出た。……組合の気
脉が通って、待合の女房も、抱主が一張羅を着飾らせた、損を知って、そんなに手荒にす....
「開扉一妖帖」より 著者:泉鏡花
て来よう。心だのみの、それが仇で、人けがなさ過ぎると、虫も這わぬ。 心は轟く、
脉は鳴る、酒の酔を円タクに蒸されて、汗ばんだのを、車を下りてから一度夜風にあたっ....
「黒百合」より 著者:泉鏡花
そうですか。」 「貴下御存じじゃあないのですか。」 「知らないね。」と気取った代
脉が病症をいわぬに斉しい。 わざと打解けて、底気味の悪い紳士の胸中を試みようと....
「十二神貝十郎手柄話」より 著者:国枝史郎
!」 貝十郎は残念そうに叫び、身をかがめて嘉右衛門の手を取った。が、その手には
脉がなかった。激情が彼を殺したのである。 後日、貝十郎は人に語った。 「嘉右衛....
「光り合ういのち」より 著者:倉田百三
の川の巴を画くこの地方は霧がとりわけ深かった。比叡尾山は馬洗川のほとりに連なる山
脉の中での一際すぐれた英峰であった。 夏の夕方から出かけてこの山の頂上にある古....
「名人地獄」より 著者:国枝史郎
拠だ。……が、まずそれはよいとして、ここに不思議なタコがある。と、いうのは三筋の
脉、天地人の三
脉に添って、巽の位置から乾の位置まで斜めにタコが出来ている。さあ、....
「剣侠」より 著者:国枝史郎
み込み、その武士の額へ手をやったが、 「冷えちゃアいない、暖かいよ」 いそいで
脉所を握ったが、 「大丈夫、生きてるよ」 「じゃア気絶というやつだな」 一人の....
「文学に現れたる東北地方の地方色」より 著者:佐左木俊郎
る原野なり。山嶽の偉大なるもの相比肩して互に馳せ互に没するは中国の奇葩、東北の山
脉はしからず、寧ろ広大なる丘陵の原野を走るが如き観をなせり。山もとより少なからず....
「動く絵と新しき夢幻」より 著者:小川未明
感傷して歩いていたと云う姿が浮んで来る。自己対自然と云う悠遠な感じがどの作品にも
脉打つように流れている。 僕はそれ等の作品を目して、セルフがはっきりと出ている....