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脣
「脣〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
脣の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「湖南の扇」より 著者:芥川竜之介
へ出かける途中、玉蘭に遇《あ》ったことを話しているんだ。それから……」
譚は上
脣《うわくちびる》を嘗《な》めながら、前よりも上機嫌につけ加えた。
「それから君....
「葬儀記」より 著者:芥川竜之介
じである。輪廓《りんかく》は、生前と少しもちがわない。が、どこかようすがちがう。
脣《くちびる》の色が黒《くろず》んでいたり、顔色が変わっていたりする以外に、どこ....
「誘惑」より 著者:芥川竜之介
すちあん」は樟の木の下に船長と何か話している。彼の顔いろは重おもしい。が、船長は
脣《くちびる》に絶えず冷笑を浮かべている。彼等は暫《しばら》く話した後、一しょに....
「外科室」より 著者:泉鏡花
た陰惨の趣をなせり。 予はしばらくして外科室に入りぬ。 ときに予と相目して、
脣辺《しんぺん》に微笑を浮かべたる医学士は、両手を組みてややあおむけに椅子《いす....
「義血侠血」より 著者:泉鏡花
ん、ほんとに約束だよ、どうしたってんだね」 なお渠は緘黙《かんもく》せり。その
脣《くちびる》を鼓動すべき力は、渠の両腕に奮いて、馬蹄《ばてい》たちまち高く挙《....
「十八時の音楽浴」より 著者:海野十三
男学員ペンは画板の上に、なにか訳のわからない機械図を引いていたが、その上には彼の
脣から止めどもなく流れだす涎《よだれ》でもって、したたかに濡れていた。男性化して....
「宇宙女囚第一号」より 著者:海野十三
ることを非常に忌みきらっているものと思われる。僕は、非常に不満だ。 「まあ、そう
脣をふるわせんでもいい。いや君の不満なのはよう分っている。しかしじゃ、科学という....
「鞄らしくない鞄」より 著者:海野十三
った。無髭無髯《むしむぜん》の顔に、細い黒縁《くろぶち》の眼鏡《めがね》をかけ、
脣が横に長いのを特徴の、有名なる私立探偵|帆村荘六《ほむらそうろく》だった。一頃....
「歯車」より 著者:芥川竜之介
怒り給うこと勿れ。恐らくは我滅びん」――こう云う祈祷もこの瞬間にはおのずから僕の
脣にのぼらない訣には行かなかった。 僕はこのホテルの外へ出ると、青ぞらの映った....
「薬」より 著者:井上紅梅
に飛び出していた。老栓はのびていた眉宇を思わず顰めた。華大媽は竈の下から出て来て
脣を顫わせながら 「取れましたか」 ときいた。 「取れたよ」 と老栓は答えた....
「端午節」より 著者:井上紅梅
んな顔をしていたか。もちろん自分で見ることは出来ないが、何しろすこぶる息がつまり
脣が顫えて、頭を動かしていたに違いない。 それはそうと彼は、ふと何かいい想いつ....
「不周山」より 著者:井上紅梅
白い毛のある一つ振り落され、その時早く水面にも落ちず、海辺に俯伏になって、自分の
脣を打った。女※は可哀想に思ったがそのままにしといた。彼女は本当にそんなことに構....
「幸福な家庭」より 著者:井上紅梅
云う可愛らしい、天真な顔だろうと彼は思った。ちょうど五年ばかり前、この子の母親の
脣がこんなに真紅だったが、これはその縮少だと思えばいいだろう。あの時は晴れ渡った....
「初雪」より 著者:秋田滋
上げて来るその動揺をおさえようとするためなのであろう。透き通るような白い指をその
脣に押しあてた。 彼女は燕が幾羽となく飛び交っている、目映いばかりに照りはえた....
「暗号数字」より 著者:海野十三
莫迦しい精力浪費事件なのさ」 帆村はそういって、心外でたまらぬという風に大きな
脣をぐっと曲げた。 ぜひ聞かせてもらいたいというと、彼は、 「うん、話をするが....