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「脱化〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

脱化の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
吾輩は猫である」より 著者:夏目漱石
《ばり》するものに限って融通の利《き》かぬ貧乏性の男が多いようだ。こう猫の習癖を脱化して見ると三毛子や黒の事ばかり荷厄介にしている訳には行かん。やはり人間同等の....
写生文」より 著者:夏目漱石
て筋を抜いてまでその態度を明かにしようとする。 かくのごとき態度は全く俳句から脱化して来たものである。泰西の潮流に漂うて、横浜へ到着した輸入品ではない。浅薄な....
日本イデオロギー論」より 著者:戸坂潤
実際に際して用いる必要を感じなかったドイツ古典哲学の内を特に選んで、発育と変遷と脱化とを経なければならぬ理由があったのである。すでにその批判を通して啓蒙を脱却し....
現代哲学講話」より 著者:戸坂潤
、カントに於けるかの第二の要素、カント自身の見たかの消極的弁証法、からの必然的な脱化であったのである。カントはその弁証法に於て、理性が矛盾に陥ることを示すことに....
現代日本の思想対立」より 著者:戸坂潤
のも無理ではない。内閣打倒の建前からいっても、終局において政党否定乃至議会政治虚脱化の意味をもつこのセミ・ブレン・トラスト組織に反対せねばならぬ建前からいっても....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
りました。その時、出過者の私は、その方に向って、ではあの尺八の鈴慕は、普化禅師の脱化の鈴の音そのままを取った響なのでございますか、或いは、臨済大師がお聞きになっ....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
ません。第一期|天草《あまくさ》の前後のことは知らず、中頃、司馬江漢あたりの筆に脱化された洋画の趣味も捨て難いものだと思いました。また最近に於て、外国の書物の挿....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
るのではない、身を横にして眼をとざせば、雲煙がおのずからにして直前に飛び、神仙が脱化《だつげ》して人間界に下りて来るとのこと。 今、竜之助は、夢みることに新し....
郷愁の詩人 与謝蕪村」より 著者:萩原朔太郎
ほと》んど尠《すく》ない。多くの歌人や俳人やは、これを日本的趣味性に優美化し、洒脱化《しゃだつか》しているのである。日本の文学で、比較的漢詩の本質的風格を学んだ....
明治劇談 ランプの下にて」より 著者:岡本綺堂
いう侍に化けて、頼光の館へ美女丸の命乞いに来るくだりは、原作者も渡辺綱の伯母から脱化したものであるが、男のような女、女のような男、しかも源氏の大将を言いまくって....
噴水物語」より 著者:岡本かの子
霊媒術です」と言った。そして「私のは合理に拠る美的判断の結果、粗物を棄捨した現実脱化です。心理学的方法はリップスに拠りますが、むかしの羅典民族と同じエスプリです....
中世の文学伝統」より 著者:風巻景次郎
音せぬ暁に ほのかに夢に見え給ふ の哀怨調を味わっても、これらの方が漢語調からの脱化を先へものにしていることが感じられる。大原三寂の一人唯心房寂然は、『唯心房集....
牡丹灯籠 牡丹灯記」より 著者:田中貢太郎
何時までも遺っていて消えない。 この牡丹燈籠は、「剪燈新話」の中の牡丹燈記から脱化したものである。剪燈新話は明の瞿佑と云う学者の手になったもので、それぞれ特色....
宮本武蔵」より 著者:吉川英治
もっていて――いわば、この飼主も、連れている犬と同じように、まだ山犬の性が多分に脱化しきれない――野獣から家畜への過渡期にあるのと同様な――山侍の一人だった。 ....
俳句の作りよう」より 著者:高浜虚子
の如く、上五字を借用するに過ぎないというような場合にあっては、――全然その意味を脱化さえすれば――その句は自己の句として記録に残しておいてもさしつかえないと考え....