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脱殻
「脱殻〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
脱殻の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「梓川の上流」より 著者:小島烏水
は川の縁に湧いていて八十年前とかに建てた、破れ小舎があるばかり、落葉は沈む、蛇の
脱殻が屋根からブラ下る、猟士ですら、浴を澡《と》らなかったものだが、今は立派な温....
「恐怖城」より 著者:佐左木俊郎
紀久ちゃん! ぼくはもう、本当に生きてはいられない」 しかし、紀久子はもう魂の
脱殻《ぬけがら》のように、黙ってふらふらと静かに歩いていった。敬二郎が抱き止めよ....
「道楽と職業」より 著者:夏目漱石
ものは無くなってしまうからであります。ことに芸術家で己の無い芸術家は蝉《せみ》の
脱殻《ぬけがら》同然で、ほとんど役に立たない。自分に気の乗った作ができなくてただ....
「黒死館殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
で、旧の元素に還されてしまってるんだ」
その間法水は、生気のない鈍重な、生命の
脱殻のようになって突っ立っていて、むしろその様子は、烈しい苦痛の極点において、勝....
「猿飛佐助」より 著者:織田作之助
じゃと、老人はいつも二倍の、おびただしく鼻血を噴きだした。 驚いた佐助が、蛇の
脱殻をまるめて師匠の鼻の穴に詰め込もうとすると、老人は、 「えい、見苦しゅうなる....
「千鳥」より 著者:鈴木三重吉
たことはない。自分の家は冬枯れの野のようだとつくづくそう思う。そのうちにふと蛇の
脱殻が念頭に浮んだ。蛇は自分の皮を脱いで、脱いだ皮を何と見るであろうかと、とんで....
「李陵」より 著者:中島敦
《ほうぎょ》も昭帝の即位もかつてのさきの太史令《たいしれい》司馬遷《しばせん》の
脱殻《ぬけがら》にとってはもはやなんの意味ももたないように見えた。 前に述べた....
「老年と人生」より 著者:萩原朔太郎
の知識や財産を蓄《たくわ》えた時には、もはや青春の美と情熱とを失い、蝉《せみ》の
脱殻《ぬけがら》みたいな老人になっている。昔の明治時代の学生は、「少年老い易《や....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
らせて、 「こりゃ只者でござらぬ」 まさしくは三百両の金を今まで呑んでいたその
脱殻《ぬけがら》なのだから只者ではない。右の大金をたんまりと呑んでいたばかりでは....
「霊界通信 小桜姫物語」より 著者:浅野和三郎
続なのじゃ。――が、竜神の躯にも一つの変化が起るのは事実である。そなたも知る蛇の
脱殻――丁度あれに似た薄い薄い皮が、竜神の躯から脱けて落ちるのじゃ。竜神は通例し....
「土地」より 著者:豊島与志雄
で作って貰った手網で、それらの小魚をしゃくったり、野の中で花を摘み集めたり、蝉の
脱殻を探し廻ったりした。 おみつが余り遠くへ行くと、平助は伸び上って呼んだ。 ....
「レ・ミゼラブル」より 著者:豊島与志雄
、天国における男性を、見いだしたのである。翼を得姿を変えたコゼットは、空虚な醜い
脱殻たるジャン・ヴァルジャンを、地上に残してきたのだった。
かくてマリユスは種....
「オフェリヤ殺し」より 著者:小栗虫太郎
々それに似た、現象が起ったとか云うそうなんだよ」 その間他の四人は、生気のない
脱殻のように茫然としていた。まさに、変異の極みとのみ思い込んでいた劇場の震動も、....
「多神教」より 著者:泉鏡花
蛇ではござりませぬ。この悪念でも、さすがは婦で、包を結えましたは、継合わせた蛇の
脱殻でござりますわ。 神職 野槌か、ああ、聞いても忌わしい。……人目に触れても近....
「釘抜藤吉捕物覚書」より 著者:林不忘
落ちやせんね。」彦兵衛が引き取る。「なんぼ朱総《しゅぶさ》が嫌えだっていわば蝉の
脱殻だ、そいつを担いで突っ走るがものもあるめえに。」 「のう常さん。」藤吉はにや....