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「脱藩〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

脱藩の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
仇討禁止令」より 著者:菊池寛
めた。 「貴殿は、天野家の嫡子として、身分の高い人じゃ。我々が下手人の罪を負うて脱藩すれば、誰も貴殿を疑う者はあるまい。貴殿は、藩に止まって、国のため一藩のため....
夜明け前」より 著者:島崎藤村
ろには、江戸方面からの人のうわさが桜田門外の変事を伝えた。 刺客およそ十七人、脱藩除籍の願書を藩邸に投げ込んで永の暇を告げたというから、浪人ではあるが、それら....
渋江抽斎」より 著者:森鴎外
の後は旧に依って生計を立てて行くことが出来ぬからである。その母を弘前に遺すのは、脱藩の疑を避けんがためである。 弘前藩は必ずしも官費を以て少壮者を東京に遣るこ....
近世快人伝」より 著者:夢野久作
ない。とうとう黒田藩の眼星しい人物は、殆んど一人も居なくなってしまった。たまたま脱藩して生野の銀山で旗を挙げた平野次郎ぐらいが目っけもの……という情ない状態に陥....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
漢のために殺されてしまった。 警察と裁判の権威者に向ってさえこれである。国々の脱藩浮浪の徒の如きは、もとより眼中にない。池田屋騒動に於て、諸国浪士の精鋭を一網....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
と思われる。フリーランサーは英語であって、当時日本の流行語で言えば、脱走者とも、脱藩人ともいう。 つまり、諸藩を脱走して、おのおのその懐抱するイデオロギーによ....
獄中への手紙」より 著者:宮本百合子
』に発表しました。このお祖父さんというのが千葉の佐倉の堀田の何かひっぱりがあり、脱藩した形式で塾をひらいていて、西周だの西村の祖父だのが何か習ったらしい。西村の....
南国太平記」より 著者:直木三十五
が、お二人とも、水戸の方じゃ。尊王、倒幕を、正義と信じ、天下の大勢と見てとって、脱藩した人々じゃ。遊びでもなければ、金儲けでもない。この仁など、酒まで断って――....
姫柚子の讃」より 著者:佐藤垢石
が散って、斬られた武士は波打ちぎわに倒れた。 鈴木栄之助は、釣り場からそのまま脱藩したのである。江戸へのぼって、浪々していた。その頃、江戸では清川八郎が浪士隊....
鴎外の思い出」より 著者:小金井喜美子
う。その時になって、始めて誰も祖父の目利の違わなかったのを感じました。 順吉は脱藩後|仏蘭西語を修め、忽ち上達して、江戸で徒を集めて教えていました。明治初年に....
和算の社会的・芸術的特性について」より 著者:三上義夫
高橋至時及び間重富が徴せられて、これをよくし得たのである。初め豊後の人麻田剛立は脱藩して大阪に来り、医を業として生計を立てつつ、暦術星学の研究に専念した。至時、....
志士と経済」より 著者:服部之総
柄の久坂玄瑞《くさかげんずい》などはわりにいい方だが、文久二年三月、同志とともに脱藩してでも伏見挙兵に加わろうと準備最中の日記に、「金の一条には大困窮、英雄もこ....
新撰組」より 著者:服部之総
の糸で町人身分と連がる外城郷士達が組織されていた。 寺田屋事変前後彼らはすべて脱藩してその限りで「浪士」であった。だが全体としての寺田屋派を仔細に見れば、烈々....
無宿人国記」より 著者:吉川英治
まり、俺たちを、召抱えたいというのか」 「まあ、そんなものだ。肉縁の者を捨てて、脱藩してくれというのだから」 「それで、五年後には帰参させて、禄も増すというのは....
旗岡巡査」より 著者:吉川英治
針は一変し、国内は明るくなる。尊王攘夷を奉じる士気はさらにふるい、たとえ、一時は脱藩の汚名をうけても、やがては藩侯へ赤誠もとどくものと――彼の胸中には俯仰して恥....