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脳中
「脳中〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
脳中の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「野菊の墓」より 著者:伊藤左千夫
々と菜がほきている。僕はしばらく立って何所《いずこ》を眺めるともなく、民子の俤を
脳中にえがきつつ思いに沈んでいる。 「政夫さん、何をそんなに考えているの」 お....
「支倉事件」より 著者:甲賀三郎
う響いたであろうか。 古我氏は既に今までの取調べに於て、朧ながらにも或る結論を
脳中に画いていた。けれども裁判官が特定の先入観に捕われる事は危険であるので、勉め....
「春昼」より 著者:泉鏡花
前垂にも、織っていたその機の色にも、聊もこの色のなかっただけ、一入鮮麗に明瞭に、
脳中に描き出された。 勿論、描いた人物を判然と浮出させようとして、この彩色で地....
「辞典」より 著者:戸坂潤
する。精神作用は感覚を以て始まるが、この感覚は全く物質的機能に外ならない。感覚は
脳中に分泌作用を引きおこし、この分泌作用がとりも直さず意識なのであると考える。こ....
「社会時評」より 著者:戸坂潤
に郷愁に襲われるような柄ではない。けれども同行の西村選手からの電報によると、彼の
脳中には何かある邪念が巣くっていてそれが彼をたまらなく不安にしていたらしい。タオ....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
毒とも言わず、哀れとも思わず、それはそれだけで立消えて、そんなことは、眼中にも、
脳中にも置かないでいたのはヒドいぞ、片手落ちだぞ。官女と重清の、はかない恋の成就....
「ジャングル頭」より 著者:豊島与志雄
を心から楽しんでいるらしい。嘗ては彼も、頭の中は戦争のことで一杯だったろう。その
脳中のジャングルを、いつしか彼は切り開き、清凉な風を吹き通らせ、仕事に喜びを見出....
「明治開化 安吾捕物」より 著者:坂口安吾
たがわず、奇怪な犯罪が彼らの眼の前で行われるに至ったのだが、その謎をとくに彼らの
脳中のソロバンが間に合うや否や。 ★ 葬式は案内状に記載の....
「北村透谷の短き一生」より 著者:島崎藤村
欧洲の学者を凹ませようと考えた事もあって、その考えは一年の間も続いて、一分時間も
脳中を去らなかった。こういう妄想を、而も斯ういう長い年月の間、頭脳の裏に入れて置....
「幕末維新懐古談」より 著者:高村光雲
うとも思えず、また自分の取り前も考え、境遇を考えなどすると、全く配偶者のことなど
脳中に置くがものはなかったのであった。 ところが、その中に、ふと、一つの話があ....
「髷」より 著者:上村松園
折りにふれ時にふれ、それを調べているうちに、ずいぶんとたくさんの髷のかたちが私の
脳中に陣取ってしまった。 いまそれを一つずつ想い出すままにとり出して並べてみる....
「妖怪学」より 著者:井上円了
液の減少することは確然たるがごとし。しかるに、ある内外の刺激または他の事情にて、
脳中の一部分起動すれば夢を起こすなり。もし、全分休止して意識作用の動かざるとき、....
「妖怪玄談」より 著者:井上円了
覚せずして自然に成るの類にして、これまた習慣より生ずること論をまたず。けだし、大
脳中にも無数の神経細胞ありて、その細胞の間に連接する無数の神経繊維あり。その繊維....
「審判」より 著者:カフカフランツ
なくさし出てくる輝きをはっきりと認めた。もう長くは生きまい。死の前にあって、彼の
脳中には全生涯のあらゆる経験が相集まって、これまで門番に投じたことのないひとつの....
「欧米各国 政教日記」より 著者:井上円了
与うる方良策なるか、余はあくまで従来なれたる宗教家の手を経て、文明の薬物を愚民の
脳中に入るるをもって良策とするものなり。しかるときは、宗教家とこれに属する信徒と....