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脳裡
「脳裡〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
脳裡の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「時代閉塞の現状」より 著者:石川啄木
因によるかはべつとして、ともかくも以上の状態は事実である。国家ちょう問題が我々の
脳裡《のうり》に入ってくるのは、ただそれが我々の個人的利害に関係する時だけである....
「地球発狂事件」より 著者:海野十三
ような光を投げこんでいる。ひどい震動が乗組員たちの足許から匐《は》いあがってきて
脳裡にまで響いた。サンキス号は今や最高速力をあげ、第二の怪事件の起こった現場から....
「電気風呂の怪死事件」より 著者:海野十三
出した。そうだ、井神陽吉が男湯の中で感電して卒倒した事件は、今の今迄、恐らく皆の
脳裡から忘却されていたのであろう。それほど、一同は異常に狎れていた。それを今、電....
「壊れたバリコン」より 著者:海野十三
三度四度と鳴らされて行きました。「坩堝に滾りだした」不図こんな言葉が何とはなしに
脳裡に浮びました。 室の外の長廊下の遠くから、入り乱れて佩剣の音が此方へ近付い....
「雛妓」より 著者:岡本かの子
」 わたくしは再び眼を上げて、蓮の枯茎のOの字の並べ重なるのを見る。怱忙として
脳裡に過ぎる十八年の歳月。 ふと気がついてみると、わたくしの眼に蓮の枯茎が眼に....
「すり替え怪画」より 著者:海野十三
色調も、なんだか違うようである。これは一体どうしたわけであるか。 ふと、伯爵の
脳裡に、電光の如く閃いたものがあった。 「ははア。さては……」 伯爵は立って、....
「鬼仏洞事件」より 著者:海野十三
明りが見えた。 (あ、なるほど、やっぱり第一号室へ通されるのだ!) 三千子は、
脳裡に、絹地に画かれたこの鬼仏洞の部屋割の地図を思いうかべた。彼女は、今は躊躇す....
「ヒルミ夫人の冷蔵鞄」より 著者:海野十三
を思いつめていたのである。 臨床実験のことも、病院の経営のことも、いまや彼女の
脳裡から次第次第に離れていった。万吉郎を家から抜けださせないこと、そして他の女に....
「巴里祭」より 著者:岡本かの子
上へ指の尖きを並べたようなアルプス連山をサフラン色に染めて行く景色を、はっきりと
脳裡に感じながら、新吉はだん/\意識を取戻して行った。牧歌が切れて濃いキャフェが....
「花束の虫」より 著者:大阪圭吉
を、ジッと耐えて、事務卓に獅噛みついていた。が、それでも段々落着くに従って、彼の
脳裡に或るひとつの考えが、水の様に流れ始めた…… ――ひょっとすると、この女が....
「ある自殺者の手記」より 著者:秋田滋
った顔をして泛んで来た。特にむかし流行った枝模様のついた絹の服を著た母の姿が私の
脳裡をしきりに往ったり来たりした。と、私はある日母がその服を著て、「ロベエルや、....
「暗号数字」より 著者:海野十三
涼をとるような恰好をしながら、その実、例の鏡の裏から読みとった新しい暗号の発展を
脳裡に描いていた。 彼のノートには、第五図のように書いてあった。 ※ ....
「狂人日記」より 著者:秋田滋
。 子供は私が通るのを見て、立ちどまって言った。 「今日は、小父さん」 私の
脳裡にこんな考が浮んだ、「この子を殺したら?」 私はその子に答えた。 「坊や、....
「金山揷話」より 著者:大鹿卓
だ真新しく、目をつむれば新緑のなまなましさに覆われたこの辺りの風景が、まざまざと
脳裡にうかんでくる。そのためかいま瞼をあけて見返す車窓は、いっそう荒涼と眺めわた....
「戦争史大観」より 著者:石原莞爾
ん泥縄式の甚だしいものであったが、講義の中心をなす最終戦争を結論とする戦争史観は
脳裡に大体まとまっていたので、とりあえず何とか片付け、大正十五年暮から十五回にわ....