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脹
「脹〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
脹の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「奇怪な再会」より 著者:芥川竜之介
しながら、彼の右の頬へ眼をやった。そこには青い剃痕《そりあと》の中に、大きな蚯蚓
脹《みみずばれ》が出来ていた。
「これか? これは嚊《かかあ》に引っ掻《か》かれ....
「素戔嗚尊」より 著者:芥川竜之介
い出した。
十六
牛飼いの若者は否《いや》と返事をする代りに、頬《ほお》を
脹《ふく》らせたまま黙っていた。すると相手は流し眼に彼の顔を覗きこんで、
「その....
「俊寛」より 著者:芥川竜之介
の塵《ちり》や藻屑《もくず》のつきたれども打ち払わず。頸《くび》細くして腹大きに
脹《は》れ、色黒うして足手細し。人にして人に非ず。」と云うのですが、これも大抵《....
「或る女」より 著者:有島武郎
のしずくがぽたりと鼻の先からズボンの上に落ちたのを見た。葉子は、泣いたために妙に
脹《は》れぼったく赤くなって、てらてらと光る木村の鼻の先が急に気になり出して、悪....
「星座」より 著者:有島武郎
急がせた。
きゅうに手の甲がぴりぴりしだした。見ると一寸《いっすん》ばかり蚯蚓
脹《みみずば》れになっていた。涙がまたなんとなく眼の中に湧いてきた。
....
「赤耀館事件の真相」より 著者:海野十三
に住もうなどとは思っていませんでした。私の父の龍太の時代になって、東京が郊外に膨
脹をはじめ、電車もひけるようになってから、初めて松木家の全家族がここに移り住むこ....
「赤外線男」より 著者:海野十三
をテクテク登っていった。 「どうです。何か見付かりましたか」彼は捜査課長の不眠に
脹れぼったくなった顔を見ると、斯う声をかけた。 「駄目です」と課長は不機嫌に喚い....
「英本土上陸作戦の前夜」より 著者:海野十三
「それは、どういうのですな」 「つまり、障害をうけたとき、患部附近に、充血とか腫
脹が起って、神経|細胞に生理的な歪みが残っていることがある。この歪みを、うまく取....
「崩れる鬼影」より 著者:海野十三
した。それが聞えたのか、ルナ・アミーバーは、草餅をふくらませたように、プーッと膨
脹を始め、みるみるうちに、硝子樽一ぱいに拡がりました。 「これはッ――」 と思....
「世界怪談名作集」より 著者:アンドレーエフレオニード・ニコラーエヴィチ
でだんだんに濃い紅色になり、やがて黒くなって崩れ出す筈のものであった。墓のなかで
脹れあがった唇の皮はところどころに薄い赤い亀裂が出来て、透明な雲母のようにぎらぎ....
「湯女の魂」より 著者:泉鏡花
ましょう。年紀の頃は十九か二十歳、色は透通る程白く、鼻筋の通りました、窶れても下
脹な、見るからに風の障るさえ痛々しい、葛の葉のうらみがちなるその風情。 ....
「鴎外博士の追憶」より 著者:内田魯庵
私を見て、垣に寄添って躊躇している着流しの二人連れがあった。一人はデップリした下
脹れの紳士で、一人はゲッソリ頬のこけた学生風であった。容子がドウモ来客らしくない....
「二葉亭四迷の一生」より 著者:内田魯庵
する所以であるから、商売の種類は何であろうとも関わぬ、海外の金儲けは即ち国富の膨
脹、国権の伸長、国威の宣揚である。極端な例を挙げれば、醜業婦の渡航を国辱である如....
「活人形」より 著者:泉鏡花
いう掟があるか、さあそれを聞うかい。と言われて八蔵受身になり、むむ、と詰りて頬|
脹らし、「何さ、そりゃ此方の商売じゃ、泊めたが悪いというではない。用があるから亭....
「南半球五万哩」より 著者:井上円了
に来たる。その前後を比較するに、多大の相違あり。第一はロンドンが市外に向かいて膨
脹し、各方面に人の輻湊する場所を生ぜること、第二は地下鉄道の電気に変じたること、....