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「脹ら〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

脹らの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
村の怪談」より 著者:田中貢太郎
のを、其処では麦のかさうれと云った。その時分には、好く海岸に大きな波が立って海が脹らんだように見え、潮気を含んでべとべとするような風が吹いて、麦の穂の上を白い蝶....
自叙伝」より 著者:大杉栄
ある日僕は玉子さんを道に要して通せんぼをした。彼女は何にも言わずに、ただ頬を脹らして、じっと僕をにらめていた。僕はそうした彼女の態度が大嫌いだったのだ。それ....
神州纐纈城」より 著者:国枝史郎
揶揄的になった。 信玄は頬をふくらませた。脂肪太りの垂頬が、河豚のようにプッと脹らんだ。 突然彼は吠えるように云った。 「憎い奴だ! 火柱|奴! 鉄砲足軽百....
支倉事件」より 著者:甲賀三郎
石子刑事はふと庭に眼をやった。縁の直ぐ前にある梅の枝が処女の乳首のようなふわりと脹らんだ蕾をつけているのが眼に映った。やがて春だなあ、そう思って再び首を捻じ向け....
黄鳥の嘆き」より 著者:甲賀三郎
。早く家の中へお這入りなさい」 と激しく叱責されたが、その時に乳母が眼を真赤に脹らして、オイ/\泣声を上げたので、野村は之は大へんな事が起ったのだなと思った。....
旗本退屈男」より 著者:佐々木味津三
もキラリキラリと鋭く光りつづけました。掏摸とった小判はどこに持っているか? 胸の脹らみ、腰の脹らみ? だが、腰にも胸にも成熟した娘の匂やかさはあっても、小判らし....
仮装人物」より 著者:徳田秋声
目にも張りが出て来た。名伏しがたい仄かな魅力を潜めている、頬から顎のあたりにも、脹らみが取り戻されて来た。どうにか用心ぶかく冬を凌いで来た庸三も、毎年このころに....
足迹」より 著者:徳田秋声
が、終いにはおそろしくなるようなことがあった。 お鳥は冷っこい台所の板敷きに、脹ら脛のだぶだぶした脚を投げ出して、また浅草で関係していた情人のことを言いだした....
連城」より 著者:田中貢太郎
っちへ廻りこっちへ廻りしていった。連城が白衣を着た一人の女と目のふちを青黒く泣き脹らして廊下の隅に坐っていた。連城は喬の来るのを見ると、にわかに起ちあがってひど....
沙漠の古都」より 著者:国枝史郎
。五人のうちで一番若い――十七位の波斯乙女はわけても悲しそうな様子をして眼を泣き脹らしておりましたので妾の注意をひきました。宴会が終えて命婦達が各自の椒房へ帰っ....
坑鬼」より 著者:大阪圭吉
いぜい肩で息をしていた。兄の岩太郎は、顔や胸を泥に穢したまま鳩尾をフイゴのように脹らしたり凹めたりしながら、係長がはいって行くから睨みつづけていた。 峯吉の父....
罠に掛った人」より 著者:甲賀三郎
、廊下を通る足音がする度に、もしや刑事がと胸をひしがれていた友木は、寝不足の眼を脹らしながら起き出て、急いで朝刊に眼を通した。 そこには思いがけない幸運が待っ....
チベット旅行記」より 著者:河口慧海
せんが、殊にネパール人は子供が沢山出来る。いつどこの地方へ行って見ても、女が腹を脹らして居るのを沢山見受けるです。ネパール位腹の脹れた女を沢山見る所はどこにもな....
活人形」より 著者:泉鏡花
いう掟があるか、さあそれを聞うかい。と言われて八蔵受身になり、むむ、と詰りて頬|脹らし、「何さ、そりゃ此方の商売じゃ、泊めたが悪いというではない。用があるから亭....
春心」より 著者:田中貢太郎
があって、そこには簀につけた海苔を並べて乾してあった。空地の前には鉛色をした潮が脹らんでいて、風でも吹けばどぶりと陸の方へ崩れて来そうに見えていた。縁には咲き残....