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腐れ
「腐れ〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
腐れの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「偸盗」より 著者:芥川竜之介
を点じたものがあるとすれば、それはこの蛇《ながむし》の切れ口から出た、なまぐさい
腐れ水ばかりであろう。
「おばば。」
「……」
老婆は、あわただしくふり返った....
「或る女」より 著者:有島武郎
おりなのがかえって不思議なようだった。じめじめした小溝《こみぞ》に沿うて根ぎわの
腐れた黒板塀《くろいたべい》の立ってる小さな寺の境内《けいだい》を突っ切って裏に....
「星座」より 著者:有島武郎
を家で研《と》ぎすましておいて仕事場に来る大工があってたまるものか。いい加減な眼
腐れ金をくれているのにつけあがって、我儘もほどほどにしろ。渡瀬は腹の中でこう思い....
「宇宙の始まり」より 著者:アレニウススヴァンテ
代、嘘と僞りの奴とて 掠め奪わん欲望に廉恥を忘れしときのことなり。 このときより
腐れたる世界の暴力は 入りきぬ、詭計や陥穽も。 山の樅樹は斧に打たれて倒れ、 作....
「かんかん虫」より 著者:有島武郎
ッチは例の頓着なく話頭を進めて居る。 かんかん虫手合いで恐がられが己れでよ、太
腐れが彼奴だ。 彼奴も字は読ま無えがね。 あの野郎が二三年以来カチヤと訳があ....
「貝の穴に河童の居る事」より 著者:泉鏡花
段、一段と這上る。…… しょぼけ返って、蠢くたびに、啾々と陰気に幽な音がする。
腐れた肺が呼吸に鳴るのか――ぐしょ濡れで裾から雫が垂れるから、骨を絞る響であろう....
「伯爵の釵」より 著者:泉鏡花
になって、頤でうけて、どろりと嘗め込む。 と、紫玉の手には、ずぶずぶと響いて、
腐れた瓜を突刺す気味合。 指環は緑紅の結晶したる玉のごとき虹である。眩しかった....
「転機」より 著者:伊藤野枝
の背丈の半ばにも及ばないような低い、竹とむしろでようやくに小屋の形をしたものが、
腐れかかって残っていたりする、長い堤防は人気のない沼の中をうねり曲って、どこまで....
「草迷宮」より 著者:泉鏡花
こが望み、と仰有るに、お住居下さればその部屋一ツだけも、屋根の草が無うなって、立
腐れが保つこんだで、こっちは願ったり、叶ったり、本家の旦那もさぞ喜びましょうが、....
「灯明之巻」より 著者:泉鏡花
う水田であった。 道を挟んで、牡丹と相向う処に、亜鉛と柿の継はぎなのが、ともに
腐れ、屋根が落ち、柱の倒れた、以前掛茶屋か、中食であったらしい伏屋の残骸が、蓬の....
「怨霊借用」より 著者:泉鏡花
。 「一所に、おいでなさいな、幽霊と。」 水ぶくれの按摩の面は、いちじくの実の
腐れたように、口をえみわって、ニヤリとして、ひょろりと立った。 お桂さんの考慮....
「多神教」より 著者:泉鏡花
神職 おのれが恥を知る奴か。――本妻正室と言わばまた聞こえる。人のもてあそびの
腐れ爛れ汚れものが、かけまくも畏き……清く、美しき御神に、嫉妬の願を掛けるとは何....
「米」より 著者:犬田卯
ると、ヨシ子は呼吸を回復し、少しく元気づいてきた。 「危なかった、生漬の梅だの、
腐れかけた李だのを、うんとこ食べていた」と白髪の村医は笑った。 甘酸っぱいよう....
「活人形」より 著者:泉鏡花
月影に四辺を屹と見渡せば、長き廊下の両側に比々として部屋並べり。大方は雨漏に朽ち
腐れて、柱ばかり参差と立ち、畳は破れ天井裂け、戸障子も無き部屋どもの、昔はさこそ....
「本所両国」より 著者:芥川竜之介
割下水に近い京極子爵家(?)の溝の中で死んだことを知ったりした。この先生は着物は
腐れ、体は骨になっていたものの、貯金帳だけちゃんと残っていた為にやっと誰だかわか....