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腐心
「腐心〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
腐心の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「松江印象記」より 著者:芥川竜之介
て達しえた水準へ五年にして達しうるのが後進たる小都市の特権である。東京市民が現に
腐心しつつあるものは、しばしば外国の旅客に嗤笑《ししょう》せらるる小人《ピグミイ....
「恩讐の彼方に」より 著者:菊池寛
砂を運び来って繕うた。かくして、畿内から、中国を通して、ひたすら善根を積むことに
腐心したが、身に重なれる罪は、空よりも高く、積む善根は土地よりも低きを思うと、彼....
「演技指導論草案」より 著者:伊丹万作
のことを方法論的にいうならば、演出者は威厳を整えるひまがあったら愛嬌を作ることに
腐心せよということになる。) ○演技指導の実践の大部分を占めるものは、広い意味に....
「隣の嫁」より 著者:伊藤左千夫
くなかった。身上の事ばかり考えて、少しでもよけいに仕事をみんなにさせようとばかり
腐心している兄夫婦は全く感情が別だ。みんながおもしろく仕事をしたかどうかなどと考....
「銀座幽霊」より 著者:大阪圭吉
た彼女達は煙草屋を忘れて、宵のうちからトラになっている三人組の客を追い出すことに
腐心していた。惨劇のもち上ったのは、恰度この時のことだった。 最初、泣くとも呻....
「大阪夏之陣」より 著者:菊池寛
し、豊家に人が在って、自発的に和州郡山へでも移り、ひたすら豊家の社稷を保つことに
腐心したら、今でも豊臣伯爵など云うものが残っていて、少し話が分った人だったら、大....
「武装せる市街」より 著者:黒島伝治
北伐にともなう、共産系の宣伝と組織運動、動乱にまぎれての工人の逃亡に対する対策に
腐心していた。 頭の下げっぷりが悪い、生意気な者には、容赦のないリンチが行われ....
「反戦文学論」より 著者:黒島伝治
利潤も多い。そこで「国際資本団体は夢中になって、敵手から一切の競争能力を奪わんと
腐心し、鉄鉱又は油田等を買収せんと努力している。而して、敵手との闘争に於ける一切....
「神秘昆虫館」より 著者:国枝史郎
かった。 「手に入れた永生の蝶の秘密を、是非とも解いて見たいものだ」――こいつに
腐心をしているのであった。 さてその永生の蝶であるが、まことに不思議なものであ....
「転機」より 著者:伊藤野枝
んでくるので、鉱毒問題の余炎がとかく上りやすいので、政府ではその禍根を絶つことに
腐心した。 水害の原因が水源地の濫伐にあることは勿論であるが、栃木、群馬、茨城....
「ある男の堕落」より 著者:伊藤野枝
で、警視庁は躍起となって、この機運に乗じて運動を起こそうとする社会主義者の検挙に
腐心したのです。そしてYと同時に、Oも次から次へ、様々な罪名で取調べを受けている....
「光は影を」より 著者:岸田国士
とをもうある程度察しているはずの上二人の子供たちの手前を、どうとりつくろおうかと
腐心していた矢先なので、自分自身をむしろ父の立場において、神妙に、子供たちの前で....
「安吾人生案内」より 著者:坂口安吾
んだからね。わが哀れなクリーニング氏がいかにモテナシに窮し、また、日夜モテナシに
腐心するところがあったか。女とは何ぞや! 彼氏はついにかかる大いなる疑問について....
「二葉亭四迷の一生」より 著者:内田魯庵
ら再び往来するようになっていた。その頃『早稲田文学』を根城として専ら新劇の鼓吹に
腐心していた逍遥は頻りに二葉亭の再起を促がしつつあったが、折も折、時なる哉、二葉....
「雷門以北」より 著者:久保田万太郎
くなったものがあったから。――当座、わたしは、その先生の眼から逃れることにばかり
腐心した。 が、そのまたずっと後になって、その先生にとって「つるよし」のおばア....