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「腐朽〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

腐朽の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
白蟻」より 著者:小栗虫太郎
とうにそのときは土化してしまっている屍の層が露《む》き出しにされた。そうすると、腐朽しきった屍のなかに根を張りはじめたせいか、そこに生える草木には、異常な生長が....
黒死館殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
で、鉛色をした蒸気の壁のように立ちはだかってしまうのだった。まったく、人も建物も腐朽しきっていて、それが大きな癌のような形で覗かれたのかもしれない。それであるか....
人外魔境」より 著者:小栗虫太郎
へは、米国コロンビア大学の薬学部長ラマビー博士一行が探検したが、ついに瘴癘湿熱の腐朽霧気地帯から撃退されている。ただ、白骨をのせた巨蓮の食肉種が、河面を覆うてい....
支倉事件」より 著者:甲賀三郎
を見つめていた。 掘り出された白骨は殆ど完全に骨ばかりになっていた。棺も着衣も腐朽して殆ど痕跡を止めない程だった。只屍体の背部の恰度屍体の下敷になっていたと思....
日本人の自然観」より 著者:寺田寅彦
古人の工学的才能は現代学者の驚嘆するところである。 床下の通風をよくして土台の腐朽を防ぐのは温湿の気候に絶対必要で、これを無視して造った文化住宅は数年で根太が....
早すぎる埋葬」より 著者:佐々木直次郎
つかみながら、全人類の墓をぱっと眼前に開いてくれた。その一つ一つの墓からかすかな腐朽の燐光が出ているので、私はずっと奥の方までも眺め、そこに屍衣を着た肉体が蛆虫....
颱風雑俎」より 著者:寺田寅彦
先から伝わった耐風策の有効さを物語るものであった。 畑中にある民家でぼろぼろに腐朽しているらしく見えていながら存外無事なのがある。そういう家は大抵周囲に植木が....
後光殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
事になった。褪せた油単で覆うた本間の琴が立て掛けてある床間から、蛞蝓でも出そうな腐朽した木の匂いがする。それが、朔郎の言葉に妙な聯想を起すのだった。 「厨川朔郎....
子規の追憶」より 著者:寺田寅彦
ながら、まだどういうわけか時々このゾラの小説の話を思い出すのである。 ほとんど腐朽に瀕した肉体を抱えてあれだけの戦闘と事業を遂行した巨人のヴァイタルフォースの....
宝島」より 著者:佐々木直次郎
口のようで、実際またそうなのであった。私たちの真正面の、南の瑞に、もうぼろぼろに腐朽してしまって見る影もない船が一艘見えた。もとは三本|檣の大きな船であったのだ....
世界怪談名作集」より 著者:岡本綺堂
相当の地位を占めていた紳士が着用したのであろうと思われる、男の衣服の附属品の半ば腐朽しているのを発見した。 高価な鋼鉄のボタンや帯留めや、それらは宮中服の附属....
オフェリヤ殺し」より 著者:小栗虫太郎
………………………………………………。 既に、風間九十郎の上には、見る影もない腐朽の印がとどめられているのだった。 「こら坊主、香を焚け、香を……」 墓穴の....
火葬と大蔵」より 著者:喜田貞吉
る。その左方のは木棺をそのまま雨露に曝したもので、蓋の木材の継目のあたりは、既に腐朽を示している。右方のは土を以て棺を被い、上に瓦を葺いてやや鄭重にこれを保護し....
中世の文学伝統」より 著者:風巻景次郎
うでしかも厳として消えない陰影。こうしたものの、時代をへだて世をことにするための腐朽や崩壊、いわば私どもの感じ方の変ったために把握の外に洩らしてしまう部分の多い....
藤の瓔珞」より 著者:田中貢太郎
一は首をかしげた。 「たしかにこのあたりだ」 ふと見ると、そこに山小屋か何かの腐朽したような茅や小枝の朽ちたのが一かたまりになっていた。....