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腐肉
「腐肉〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
腐肉の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「鯉魚」より 著者:岡本かの子
田舎奴《でんしゃぬ》、人を瞞《まん》ずること少なからず」 「鯉魚」 「ほとんど
腐肉《ふにく》蠅《よう》を来《きた》す」 「鯉魚」 これでは全く問答になってい....
「白蟻」より 著者:小栗虫太郎
だろうか。さらに、その原野の標章と云えば、すぐさま、糧《かて》にしている刑屍体の
腐肉が想いだされるけれども、そのために草木の髄のなかでは、なにか細胞を異にしてい....
「赤耀館事件の真相」より 著者:海野十三
な顔をしていたかしらと思うこともあるのです。あの眼。このごろの勝見の眼は、死人の
腐肉を喰べた人間の眼ですよ」 「そりゃ、よくないね。君は神経衰弱にかかっているよ....
「人外魔境」より 著者:小栗虫太郎
なければ、ああも奇怪な二重人格をあらわすわけはない。と、知らず識らず、この入江の
腐肉の気にさそわれてきた座間である。 カークは早くも、それを悟ったと見え改まっ....
「神州纐纈城」より 著者:国枝史郎
である。 三年五年ないしは十年、さらに長きは二三十年の間に、徐々として行われる
腐肉作用が、一瞬の間に行われたのであった。奔馬性癩患の性質であった。 彼女はも....
「武装せる市街」より 著者:黒島伝治
ちあがっている。 高取たちは、もう、暑さで腐爛していた。酸っぱい鼻もちのならぬ
腐肉の匂いと、線香の煙がもつれあって、嗅覚を打った。どれが高取だか、那須だか、玉....
「自由画稿」より 著者:寺田寅彦
る。「うじ虫めら」というのは最高度の軽侮を意味するエピセットである。これは彼らが
腐肉や糞堆《ふんたい》をその定住の楽土としているからであろう。形態的にははちの子....
「踊る地平線」より 著者:谷譲次
唸り声を上げている。つぎなるザクシカというのは、早く言えば、若くして悶死した魚の
腐肉だ。そのほかガグリシチにしろペテロシュカにしろギザルシカにしろ凡て大同小異で....
「墓」より 著者:秋田滋
の晩、夜一夜、ちょうど愛の抱擁をした人間が女の体臭を大切にもっているように、その
腐肉の悪臭、腐って行くわたくしの愛人の臭いを大切にまもっていたのでした。 わた....
「紅毛傾城」より 著者:小栗虫太郎
、悩ましげな表情を漂わせていた。 しかし、息をあえいで太腿を改め、凍りついた、
腐肉の上に瞳を凝らすと、やはりそこにはグレプニツキーの言うがごとく、EL DOR....
「二都物語」より 著者:佐々木直次郎
の足をさらいそうなくらいの猛烈な勢でどっと押し出していたし、当の外れた青蠅が他の
腐肉を捜し求めに四方へ散ってゆくかのように、蠅の唸るような声高いうわあっという声....
「剣侠」より 著者:国枝史郎
て真っ先に驚いたのは、何とも云われない悪臭であった。 不浄の匂い、獣皮の匂い、
腐肉の匂い、襤褸の匂い――、いろいろの悪臭が集まって、一つになった得もいわれない....
「わが童心」より 著者:佐藤垢石
、有名な赤城颪が猛然と吹き降りてくる。寒冽な強風だ。風花を混じえて、頬に当たれば
腐肉も割れやせん。 私は子供のころ、その痛い嵐が吹き荒む利根川端の崖路を、前橋....
「赤い壺」より 著者:種田山頭火
は再び官能の陶酔に帰って来る。そして野良猫が残肴を漁るように、爛れた神経の尖端で
腐肉の中を吸いまわる。彼は闇にうごめく絶望の影である。しかも彼は往々にして――若....
「蛆の効用」より 著者:寺田寅彦
る。「蛆虫めら」というのは最高度の軽侮を意味するエピセットである。これはかれらが
腐肉や糞堆をその定住の楽土としているからであろう。形態的には蜂の子やまた蚕とも、....