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腰弁当
「腰弁当〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
腰弁当の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「二老人」より 著者:国木田独歩
さえすれば、それでやってゆく。いまさらわしが隠居仕事で候《そうろう》のと言って、
腰弁当で会社にせよ役所にせよ病院の会計にせよ、五円十円とかせいでみてどうする、わ....
「野分」より 著者:夏目漱石
て毛繻子張《けじゅすば》りの蝙蝠傘《こうもり》をさした、一人坊《ひとりぼ》っちの
腰弁当の細長い顔から後光《ごこう》がさした。高柳君ははっと思う。 往来のものは....
「綺堂むかし語り」より 著者:岡本綺堂
覚悟でなければならない。わたしは午前二時頃に起きて、ゆうべの残りの冷飯を食って、
腰弁当をたずさえて、小倉の袴の股立ちを取って、朴歯の下駄をはいて、本郷までゆく途....
「夜明け前」より 著者:島崎藤村
肥後の家老|長岡監物の一行が江戸の方から上って来て、いずれも鉄砲持参で、一人ずつ
腰弁当でこの街道を通った。 仙洞御所の出火のうわさ、その火は西陣までの町通りを....
「足迹」より 著者:徳田秋声
て、始終|実姉の家の厄介になっていることは、お庄も従姉の愚痴談で知っていた。 「
腰弁当こそ駄目よ。」と、従姉もそうけ立った頭髪を押えながら呟いた。 「お庄の前祝....
「みみずのたはこと」より 著者:徳冨健次郎
売る者は売れ、俺等は売らぬ、と澄まして居た反対|側の人達も、流石に怒り出した。
腰弁当、提灯持参、草鞋がけの運動がはじまった。村会に向って、墓地排斥の決議を促す....
「浮雲」より 著者:二葉亭四迷
わ》ッて辛《から》くして静岡藩の史生に住込み、ヤレ嬉《うれ》しやと言ッたところが
腰弁当の境界《きょうがい》、なかなか浮み上る程には参らぬが、デモ感心には多《おお....
「駆逐されんとする文人」より 著者:内田魯庵
し潰されそうになっても猶お交通の便利を心から難有がるほど呑気にはなれない。我々は
腰弁当を揺下げて青い罫や赤い罫の帳面と睨めくらしなくても自働車の音には毎日脅かさ....
「化銀杏」より 著者:泉鏡花
だもんだからどこも良い処には行かれないで、金沢じゃ、あんなつまらない学校へ、
腰弁当というしがない役よ。」 と一人冷かに笑うたり。 「何もそんなに気を揉まな....
「化鳥」より 著者:泉鏡花
誰が持主というのでもない。細引の麻縄で棒杭に結えつけてあるので、あの、湿地茸が、
腰弁当の握飯を半分|与ったり、坊ちゃんだの、乳母だのが、袂の菓子を分けて与ったり....
「兜」より 著者:岡本綺堂
ると、いつの間に用意してくれたのか、蓑笠のほかに新しい草鞋までも取揃えてあった。
腰弁当の握り飯もこしらえてあった。勘次郎はその親切をよろこんで懐ろから一枚の小判....
「ピストルの使い方」より 著者:泉鏡花
等だ。震災以後は、東京じゃ臆病な女連は今でも遣ってる。」 と云って、膝の上で、
腰弁当のような風呂敷を、開く、と見れば――一|挺の拳銃。 晃然と霜柱のごとく光....
「明治劇談 ランプの下にて」より 著者:岡本綺堂
銭は三銭ぐらいで、平土間の大部分は俗に“追い込み”と称する大入り場であったから、
腰弁当で出かければ木戸銭のほかに座蒲団代の一銭と茶代の一銭、あわせて五銭を費せば....
「三崎町の原」より 著者:岡本綺堂
覚悟でなければならない。わたしは午前二時頃に起きて、ゆうべの残りの冷飯を食って、
腰弁当をたずさえて、小倉の袴の股立を取って、朴歯の下駄をはいて、本郷までゆく途中....
「読書雑感」より 著者:岡本綺堂
らいの処に坐って読まされる。時にはまた、立派な座敷へ通されて恐縮することもある。
腰弁当で出かけても、碌々に茶も飲ませてくれない家がある。そうかと思うと、茶や菓子....