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腰蓑
「腰蓑〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
腰蓑の前後の文節・文章を表示しています。該当する10件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「少年」より 著者:芥川竜之介
ることにした。浦島太郎は考えずとも好《い》い、漁夫の着物は濃い藍色《あいいろ》、
腰蓑《こしみの》は薄い黄色《きいろ》である。ただ細い釣竿《つりざお》にずっと黄色....
「逆行」より 著者:太宰治
。そんなことだけが問題であったのである。 くろんぼのからだには、青い藺《い》の
腰蓑《こしみの》がひとつ、つけられていた。油を塗りこくってあるらしく、すみずみま....
「道草」より 著者:夏目漱石
に渡されたのである。 彼はまたその人に連れられて、よく船に乗った。船にはきっと
腰蓑《こしみの》を着けた船頭がいて網を打った。いなだの鰡《ぼら》だのが水際まで来....
「鵜飼」より 著者:横光利一
。雑念はすべて誤りという不可思議な中で、しきりに人は思わねばならぬ。思いを殺し、
腰蓑の鋭さに水滴を弾いて、夢、まぼろしのごとく闇から来り、闇に没してゆく鵜飼の灯....
「伸子」より 著者:宮本百合子
らは万国街に入った。舞台には、椰子の生えた海辺の背景が置かれ、その前に裸体へ草の
腰蓑だけをつけた女が二人現れていた。黒い剽悍《ひょうかん》そうな縮毛《ちぢれげ》....
「伊勢之巻」より 著者:泉鏡花
るし、牛若もあれば、弥次郎兵衛もある。屋根へ手をかけそうな大蛸が居るかと思うと、
腰蓑で村雨が隣の店に立っているか、下駄屋にまで飾ったな。皆極彩色だね。中にあの三....
「顎十郎捕物帳」より 著者:久生十蘭
いたが、いざ釣りはじめると面白いように喰いつく。れいの凝性《こりしょう》で本式に
腰蓑一つになって丈一の継竿《つぎざお》をうち振りうち振り、はや他念のない模様であ....
「悪因縁の怨」より 著者:江見水蔭
揃いらしい、白地に荒い蛸絞りの浴衣に、赤い帯が嬉しかった。それに浅黄の手甲脚半、
腰蓑を附けたのが滅法好い形。 だが、肝腎の顔は見え無かった。 「お嬶さん、毎度....
「卵塔場の天女」より 著者:泉鏡花
泳ぐのが見えた。見事な鮒よ、ぴちぴちと躍って、宙に雨脚を刎ねるようである。それは
腰蓑で、笠を被った、草鞋穿きの大年増が、笊に上げたのを提げて、追縋った――実は、....
「私本太平記」より 著者:吉川英治
都からよい沙汰するぞ」 菊王は、棹を取って、すぐ岸を突いた。 そこらにあった
腰蓑をまとって、散所者の舟人に似せた姿も、それらしい。たちまち出屋敷の水門を離れ....