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「腹の中〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

腹の中の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
偸盗」より 著者:芥川竜之介
ねんねしておいで、今にじき夜が明けるよ。」――彼女は、こう胎児にささやいた。が、腹の中の身動きは、やみそうで、容易にやまない。そのうちに痛みさえ、どうやら少しず....
河童」より 著者:芥川竜之介
からテエブルの上にあった消毒用の水薬《すいやく》でうがいをしました。すると細君の腹の中の子は多少気兼ねでもしているとみえ、こう小声に返事をしました。 「僕は生ま....
金将軍」より 著者:芥川竜之介
下《きゃっか》に蹂躙《じゅうりん》する怪物である。金将軍はたちまち桂月香を殺し、腹の中の子供を引ずり出した。残月の光りに照らされた子供はまだ模糊《もこ》とした血....
」より 著者:芥川竜之介
波《たんば》の国の甕襲《みかそ》と云う人の犬が、貉を噛《か》み食《ころ》したら、腹の中に八尺瓊曲玉《やさかにのまがたま》があったと書いてある。この曲玉は馬琴《ば....
西郷隆盛」より 著者:芥川竜之介
の中をうす明く飛びすぎる。本間さんは向うの気色《けしき》を窺《うかが》いながら、腹の中でざまを見ろと呟きたくなった。 「政治上の差障《さしさわ》りさえなければ、....
或る女」より 著者:有島武郎
子を故意に威圧しようとたくらむわざとな改まりかたも見えた。葉子はいたずら者らしく腹の中でくすくす笑いながら、木村の顔を好意をこめた目つきでながめ続けた。木村の心....
或る女」より 著者:有島武郎
髷《まげ》だけを葉子に見えるようにして素直《すなお》に答えた。「ふゝん」と葉子は腹の中でせせら笑った。そして始めてそこにすわって、じっと岡の目を見つめながら、 ....
カインの末裔」より 著者:有島武郎
れから云々、それから云々。 仁右衛門はいわれる事がよく飲み込めはしなかったが、腹の中では糞《くそ》を喰《く》らえと思いながら、今まで働いていた畑を気にして入口....
星座」より 著者:有島武郎
か。いい加減な眼腐れ金をくれているのにつけあがって、我儘もほどほどにしろ。渡瀬は腹の中でこう思いながらも、顔つきにはその気配も見せなかった。 「じつは僕もこの仕....
高野聖」より 著者:泉鏡花
、人事《ひとごと》ながら嬉《うれ》しくて、思わず涙が流れたのじゃ。 すると人の腹の中を読みかねるような婦人《おんな》ではない、たちまち様子を悟《さと》ったかし....
碁石を呑んだ八っちゃん」より 著者:有島武郎
やはせきこんで、 「通りましたね、まあよかったこと」 といった。きっと碁石がお腹の中にはいってしまったのだろう。お母さんも少し安心なさったようだった。僕は泣き....
惜みなく愛は奪う」より 著者:有島武郎
て、お前に、お前が心|窃かに恥じねばならぬような過大な報償を贈ってよこす。お前は腹の中で心苦しい苦笑いをしながらも、その過分な報償に報ゆるべく益※私から遠ざかっ....
海異記」より 著者:泉鏡花
ゃ不可ねえや、ああ、お浜ッ児はこうは育てたくないもんだ。」と、機械があって人形の腹の中で聞えるような、顔には似ない高慢さ。 女房は打笑みつつ、向直って顔を見た....
草迷宮」より 著者:泉鏡花
、恍惚となるような、まあ例えて言えば、芳しい清らかな乳を含みながら、生れない前に腹の中で、美しい母の胸を見るような心持の――唄なんですが、その文句を忘れたので、....
神鷺之巻」より 著者:泉鏡花
顔――畜生――牡丹の根で気絶して、生死も知らないでいたうちの事が現に顕われて、お腹の中で、土蜘蛛が黒い手を拡げるように動くんですもの。 帯を解いて、投げました....