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「腹部〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

腹部の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
或る女」より 著者:有島武郎
やしたり、感情が激昂《げきこう》したりしたあとでは、きっと収縮するような痛みを下腹部に感じていた。船に乗った当座は、しばらくの間は忘れるようにこの不快な痛みから....
或る女」より 著者:有島武郎
のないような健康の意識はその後葉子にはもう帰って来なかった。寒気が募るにつれて下腹部が鈍痛を覚えるばかりでなく、腰の後ろのほうに冷たい石でも釣《つ》り下げてある....
カインの末裔」より 著者:有島武郎
しようもなかった。 勿体《もったい》ぶって笠井が護符を押いただき、それで赤坊の腹部を呪文《じゅもん》を称《とな》えながら撫《な》で廻わすのが唯一の力に思われた....
水害雑録」より 著者:伊藤左千夫
その騒々しさは又|自から牽手の心を興奮させる。自分は二頭の牝牛を引いて門を出た。腹部まで水に浸されて引出された乳牛は、どうされると思うのか、右往左往と狂い廻る。....
クララの出家」より 著者:有島武郎
クララは眼がくらみながらも起き上がろうともがいとさし通した。燃えさかった尖頭は下腹部まで届いた。クララは苦悶の中に眼をあげてあたりを見た。まぶしい光に明滅して十....
空襲葬送曲」より 著者:海野十三
るのだった。次第に燃えさかってくる一帯の火災は、無惨にも血と泥とにまみれた青年の腹部を、あかあかと照しだした。 死んだ青年は、背中に大きい包みを背負っていた。....
三十年後の世界」より 著者:海野十三
上半身は大きいが、下半身が発達していない。皮膚の色はうす桃色と緑色とのまだらで、腹部は白かった。上下一対ずつの四つのヒレがよく働き、まだ身体のわりに小さい丸い尾....
火星探険」より 著者:海野十三
、白い沙漠が現れた。それから四五秒後に、轟然《ごうぜん》たる音響と共に、宇宙艇の腹部が砂原に接触した。これこそ、記録すべき火星着陸の瞬間だった。 「開放……」 ....
古狢」より 著者:泉鏡花
勇士が、そのまま中仙道北陸道を負い通いて帰国した、と言伝えて、その負さりたもうた腹部の中窪みな、御丈、丈余の地蔵尊を、古邸の門内に安置して、花筒に花、手水鉢に柄....
神鷺之巻」より 著者:泉鏡花
て、堂の縁を、もの狂わしく駆廻ったはおろか、いまだに、振向いても見ないで、胸を、腹部を袖で秘すらしい、というだけでも、この話の運びを辿って、読者も、あらかじめ頷....
霊界通信 小桜姫物語」より 著者:浅野和三郎
が一しきりはずみました。―― 『そなたは一たい、何処が悪くて歿ったのじゃ?』 『腹部の病気でございました。針で刺されるようにキリキリと毎日悩みつづけた末に、とう....
」より 著者:犬田卯
もはや痛みを訴える力もなく、うつらうつらと、高熱の中に、四肢をぴくつかせていた。腹部を見ると、まるで死んだ蛙のようにぷくらんと膨れ上り、指先で押しても凹まないく....
雪柳」より 著者:泉鏡花
い抵抗、悩乱が思われる。帯も扱帯もずり落ちて、絡った裳も糸のように搦んだばかり。腹部を長くふっくりと、襟の辷った、柔かい両の肩、その白さ滑かさというものは、古ぼ....
妖怪談」より 著者:井上円了
ろが、狐どもは腹へ入ってからというものは、たえ間なく腹中をかけ回るので、ついには腹部の激痛を感ずるようになりましたので、苦しむようになりました。ところが、狐は入....
ベートーヴェンの生涯」より 著者:ヴェーゲラーフランツ・ゲルハルト
化するばかりだ。再び快方に向くかどうかがはっきり判るのも今後のことだ。これは僕の腹部の病気いかんによることに相違ない。腹の方はほとんど良くなっている。耳の病気も....