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膏薬
「膏薬〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
膏薬の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「高野聖」より 著者:泉鏡花
には体に精分をつけてからと、まず一日に三ツずつ鶏卵《たまご》を飲まして、気休めに
膏薬《こうやく》を貼《は》っておく。
その
膏薬を剥《は》がすにも親や兄、また傍....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
熊の噂はだんだんに高くなった。それは麻布の古川《ふるかわ》の近所に住んでいる熊の
膏薬屋が店の看板代りに飼って置いたものであることが判った。
膏薬屋は親父とむすめの....
「隣の嫁」より 著者:伊藤左千夫
るから、省さんの方からきめておいてください」 「そうさなア、おれが負けたら、皹の
膏薬をおまえにやろう」 「あらア人をばかにして、……そんならわたしが負けたら一文....
「海野十三敗戦日記」より 著者:海野十三
ら口の右下におできが出来、苦しんでいる。ゲリゾンをのんだり、アルバジルをつけたり
膏薬を貼ったり、諸策を講じているが、まだ治癒のきざしはない。 ◯特別配給の「光」....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
を紙で巻いているらしかった。半七はふと思い出した。お葉の死骸の左の小指にも小さい
膏薬が貼ってあった。検視の時には誰も格別の注意を払わなかったのであるが、其蝶が右....
「超人間X号」より 著者:海野十三
のように答えた。 「この繃帯は、じつは悪性の腫物《はれもの》ができたので、そこへ
膏薬《こうやく》をつけて、この繃帯で巻いているのです。悪いおできのことだから、い....
「大脳手術」より 著者:海野十三
、実をいえば目下金策をあれやこれやと考慮中であるわけだ。 私が、この厄介な脛に
膏薬を貼りかえているところへ、めずらしく鳴海が入ってきた。 「よう闇川。やっぱり....
「太平洋魔城」より 著者:海野十三
ぶり、そしてよく見ると、顔中やたらに黄いろい粉がなすりつけてあり、また顔中方々に
膏薬を貼ってあった。ことに、鼻から上唇にかけて、大きな
膏薬がはりつけてあり、その....
「唄立山心中一曲」より 著者:泉鏡花
ものを、やけな御辞退で、何だかね、南蛮秘法の痲痺薬……あの、それ、何とか伝三熊の
膏薬とか言う三題|噺を逆に行ったような工合で、旦那方のお酒に毒でもありそうな様子....
「開扉一妖帖」より 著者:泉鏡花
を掻交ぜ、掻交ぜ、片襷で練上げた、東海の鯤鯨をも吸寄すべき、恐るべき、どろどろの
膏薬の、おはぐろ溝へ、黄袋の唾をしたような異味を、べろりべろり、と嘗めては、ちび....
「照葉狂言」より 著者:泉鏡花
い。」 と身を返して遁げ行きぬ。 この時、人声静まりて、橋がかりを摺足して、
膏薬練ぞ出で来れる。その顔は前にわれを引留めて、ここに伴いたるかの女に肖たるに、....
「世界怪談名作集」より 著者:岡本綺堂
二、三滴しか飲まないのに、彼女はもうわたしが眼を醒ますのを怖れて、傷口をこすって
膏薬を貼って、注意深くわたしの腕に小さい繃帯を巻きつけたので、その痛みはすぐに去....
「歯車」より 著者:芥川竜之介
…」 僕はふと口を噤み、鏡の中に彼の後ろ姿を見つめた。彼は丁度耳の下に黄いろい
膏薬を貼りつけていた。 「何人もの接吻の為に?」 「そんな人のように思いますがね....
「豆腐買い」より 著者:岡本かの子
爛れた泥と水との間に捨てられていた。溜ってぼろ布のように浮く塵芥に抵抗しながら鍋
膏薬の使いからしが流されて来た。ロンドンの六片均一店で売って居る鍋
膏薬は厚くて重....
「仏教人生読本」より 著者:岡本かの子
あります。もし一方に偏して、これを万病薬のように固執するならば、腫物が癒ってなお
膏薬を貼っているようなものであります。そうかといって初めから薬を無視し、病を見送....