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膝下
「膝下〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
膝下の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「忠直卿行状記」より 著者:菊池寛
なんと仰せられるかきこう」と、思いつくと、忠直卿は岡山口へ本陣を進めていた家康の
膝下《しっか》に急いだのである。 家康は牀几《しょうぎ》に倚って諸大名の祝儀を....
「惜みなく愛は奪う」より 著者:有島武郎
権威を失墜してしまったか。昔は一国の帝王が法王の寛恕を請うために、乞食の如くその
膝下に伏拝した。又或る仏僧は皇帝の愚昧なる一言を聞くと、一拶を残したまま飄然とし....
「金魚撩乱」より 著者:岡本かの子
つき上げて来たが、何ものかがそれをさせなかった。それをしたら、即座に彼女の魅力の
膝下に踏まえられて、せっかく、固持して来た覚悟を苦もなく渫って行かれそうな予感が....
「厳島合戦」より 著者:菊池寛
どを語って、いつか元就の城へも出入している。元就は、之を敵の間者と知って、わざと
膝下へ近づけていた。ある日、元就、老臣共を集め座頭の聞くか聞かないか分らぬ位の所....
「小田原陣」より 著者:菊池寛
千成|瓢箪の馬印が越せば、総て解決されるのである。 聚楽第行幸で、天下の群雄を
膝下に叩頭させて気をよくして居た時でも、秀吉の頭を去らなかったのは此の関東経営で....
「縁結び」より 著者:泉鏡花
墓参詣の事だから、」 と云いかけて、だんだん火鉢を手許へ引いたのに心着いて、一
膝下って向うへ圧して、 「お前さん、煙草は?」 黙って莞爾する。 「喫むだろう....
「琵琶伝」より 著者:泉鏡花
しかりし後、いまだかつて許されざりし里帰を許されて、お通は実家に帰りしが、母の
膝下に来るとともに、張詰めし気の弛みけむ、渠はあどけなきものとなりて、泣くも笑う....
「政談十二社」より 著者:泉鏡花
では謂われぬことだが、お金子の行先はちゃんと分った。しかし手証を見ぬことだから、
膝下へ呼び出して、長煙草で打擲いて、吐させる数ではなし、もともと念晴しだけのこと....
「黒百合」より 著者:泉鏡花
くも何ともねえが、汝は可哀そうだな。」といって、さすがの少年が目に暗涙を湛えて、
膝下に、うつぎの花に埋もれて蹲る清い膚と、美しい黒髪とが、わななくのを見た。この....
「怪異黒姫おろし」より 著者:江見水蔭
国武者修業の豪傑とは誰の眼にも見えるのが、大鼻の頭に汗の珠を浮べながら、力一杯片
膝下に捻伏せているのは、娘とも見える色白の、十六七の美少年、前髪既に弾け乱れて、....
「歌麿懺悔」より 著者:邦枝完二
込んでいた、当の相手のおきたではないか。向うからいわれるまでもなく、直ぐさま己が
膝下へ引寄せずにはおかない筈なのだが、しかし手錠の中に細った歌麿の手首は、じっと....
「飛騨の怪談」より 著者:岡本綺堂
の小さい男が這って来て七兵衛の足を掬った。彼は倒れながらに敵の腕を取って、一旦は
膝下に捻伏せたが、体に似合わぬ強い奴で忽ち又|跳返した。二人は起きつ転びつ毟り合....
「現代茶人批判」より 著者:北大路魯山人
々の俗欲の目には絶対に飛び込んでつき合ってはくれないことになっている。名画墨跡を
膝下に展くも、名器を目前に陳ぶるも、道具屋一流の囚われた見方以外には一歩も前進し....
「活人形」より 著者:泉鏡花
だ。「は――我ながら何ともいえぬ異変な声でございます。と泰助と顔を見合せ、亭主は
膝下までひたと摺寄り、「ええそれが私は襟許から、氷を浴びたような気が致して、釘附....
「空晴れて」より 著者:小川未明
た。 賢一は、老先生のお言葉をありがたく思いました。そして、この温情深い先生の
膝下から、遠く離れるのを、心のうちで、どんなにさびしく思ったかしれません。 こ....