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膿
「膿〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
膿の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「偸盗」より 著者:芥川竜之介
み》一つぎりで、ほとんど裸と変わりがない。見ると、その胸や腹は、指で押しても、血
膿《ちうみ》にまじった、水がどろりと流れそうに、黄いろくなめらかに、むくんでいる....
「不思議な島」より 著者:芥川竜之介
すよ。」
僕は耳を澄まして見た。なるほど僕を呼んでいるらしい。しかもこの頃|蓄
膿症《ちくのうしょう》のために鼻のつまった甥《おい》の声である。僕はしぶしぶ立ち....
「一夕話」より 著者:芥川竜之介
って来た時に、若槻にもちょいと頼まれていたから、便宜を図ってやっただけなんだ。蓄
膿症《ちくのうしょう》か何かの手術だったが、――」
和田は老酒《ラオチュ》をぐ....
「羅生門」より 著者:芥川竜之介
の上からさす火の光が、かすかに、その男の右の頬をぬらしている。短い鬚の中に、赤く
膿《うみ》を持った面皰《にきび》のある頬である。下人は、始めから、この上にいる者....
「或る女」より 著者:有島武郎
しい、浅黒いつやの皮膚は何よりも葉子には愛らしかった。始終吹き出物でもしそうな、
膿《うみ》っぽい女を葉子は何よりも呪《のろ》わしいものに思っていた。葉子はつやの....
「カインの末裔」より 著者:有島武郎
毎日小屋の前に仁王立《におうだち》になって、五カ月間積り重なった雪の解けたために
膿《う》み放題に
膿んだ畑から、恵深い日の光に照らされて水蒸気の濛々《もうもう》と....
「高野聖」より 著者:泉鏡花
の病人もこれで復《なお》る、復らぬまでも苦痛《いたみ》が薄らぐ、根太《ねぶと》の
膿《うみ》を切って出すさえ、錆《さ》びた小刀で引裂《ひっさ》く医者殿が腕前じゃ、....
「水害雑録」より 著者:伊藤左千夫
るを悵恨するよりは、一方のかこみを打破った奮闘の勇気に快味を覚ゆる時期である。化
膿せる腫物を切開した後の痛快は、やや自分の今に近い。打撃はもとより深酷であるが、....
「深夜の市長」より 著者:海野十三
になりますが、貴下の傷は幸運にも上膊動脈と上膊骨との中間をうまく貫いています。化
膿さえしなければ、ズンズンよくなりますよ」 総監は口を緘したまま、首を振って悦....
「地球盗難」より 著者:海野十三
どうもまだ分りませんな。気が一向ハッキリして来ねえのです。傷の方は、いい塩梅に化
膿しないで済みそうですよ。明日一杯が勝負というところでしょうな」 「そうか。君の....
「自叙伝」より 著者:大杉栄
と気でも変になったんじゃあるまいかと、みんながそう思ったんだそうだ。 母は卵巣
膿腫、すなわち俗にいう脹満で死んだのだ。 その少し前に、九人目の子供を流産して....
「恐竜島」より 著者:海野十三
《げきつう》をおこすことになる。さらにその後になると、傷口からばい菌がはいって化
膿《かのう》し、全く歩けなくなってしまう、熱帯地方では、傷の手当は特に念入りにし....
「化銀杏」より 著者:泉鏡花
、芳さん、ありゃ猫の疱瘡とでもいうのかしら。からだじゅう一杯のできもので、一々|
膿をもって、まるで、毛が抜けて、肉があらわれてね、汚なくって手もつけられないよ。....
「星女郎」より 著者:泉鏡花
って、傾きざまに膝を密と打ち、 「津々として玉としたたる甘露の液と思うのが、実は
膿汁といたした処で、病人の迷うのを、強ち白痴とは申されん、――むむ、さようなお心....
「歯車」より 著者:芥川竜之介
し十四五の女生徒の一人はまだいろいろのことを問いかけていた。僕はふと彼女の鼻に蓄
膿症のあることを感じ、何か頬笑まずにはいられなかった。それから又僕の隣りにいた十....