膿汁[語句情報] » 膿汁

「膿汁〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

膿汁の前後の文節・文章を表示しています。該当する10件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
眼帯記」より 著者:北条民雄
ない。しかしいかんせん、すでに病勢は進み眉毛はなく、貌色が病的に白い。皮膚の裏に膿汁がたまっているような白さである。 もう一人の女は、まだ二十二、三であろうと....
いのちの初夜」より 著者:北条民雄
と血の引くのを覚えた。奇怪な貌だった。泥のように色艶が全くなく、ちょっとつつけば膿汁が飛び出すかと思われるほどぶくぶくと脹《ふく》らんで、その上に眉毛が一本も生....
刻々」より 著者:宮本百合子
るような不熟練者が執刀した。手術後、ガーゼのつめかえの方法をいい加減にしたので、膿汁が切開したところから出きらず、内部へ内部へと病毒が侵入して、病勢は退院後悪化....
偽りのない文化を」より 著者:宮本百合子
ちびかれている。破滅的現象は街にも家庭にもあふれ出ているのに、若い眼も心も崩壊の膿汁《うみ》にふれていながら、事実は事実として見て、生活でぐっとそれによごされず....
星女郎」より 著者:泉鏡花
って、傾きざまに膝を密と打ち、 「津々として玉としたたる甘露の液と思うのが、実は膿汁といたした処で、病人の迷うのを、強ち白痴とは申されん、――むむ、さようなお心....
原爆詩集」より 著者:峠三吉
たくしの唇に肉親の骨の味を呼びかえし 暑さ寒さに疼きやまぬその傷跡から 臭わしい膿汁をしたたらせる 固いかさぶたのかげで 焼きつくされた娘心を凝らせるあなたに対....
獄中への手紙」より 著者:宮本百合子
わされて来ていましたね。 そして、彼がナポレオン以後のくされ切ったフランスの膿汁を突き出しながら、やはり時代の下らなさをうけていて、「幻滅」のダヴィドとエー....
祭の夜」より 著者:平林初之輔
島田のそばへ寄って手をほどいてやりました。急いで掌をひらいてみると、中から火傷の膿汁《うみじる》でかたまりついた、一寸位の辺の三角形に燃えのこった帳面の切れっぱ....
宮本武蔵」より 著者:吉川英治
わが二つの足をじっと見た。 ふと気がついたのである。見ればその足の甲から、青い膿汁が一升もあふれ出ているではないか。それは、またこの清澄な天界に、異な人間のに....
私本太平記」より 著者:吉川英治
、薬餌、何から何までを、 「登子、登子」 と、妻へ甘える眼をして求めた。患部の膿汁を拭きとることから、朝夕のくすりの塗布や煎薬なども侍医にはさせないで妻にさせ....