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臆する
「臆する〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
臆するの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「星座」より 著者:有島武郎
と眺めやった。その瞬間に園の覚悟は定まった。彼は柱から身を起して端坐した。そして
臆することなく小母さんの方に面を向けた。口を切ろうとする時、父のことをまずいいだ....
「婦系図」より 著者:泉鏡花
と、妙子はつつと勇ましく進んで、差向いに面を合わせて、そのふっくりした二重瞼を、
臆する色なく、円く※って、 「御用ですか。」 と云った風采、云い知らぬ品威が籠....
「深夜の市長」より 著者:海野十三
僕等の側に止った。 「もし……」と運転手は老人の方に声をかけた。 「……」老人は
臆する気色もなく、顔をその円タクの方に向けた。 「もうお聞き及びでござんしたら、....
「金魚撩乱」より 著者:岡本かの子
んまりした道筋であった。 真佐子と復一は円タクに脅かされることの少い町の真中を
臆するところもなく悠々と肩を並べて歩いて行った。復一が真佐子とこんなに傍へ寄り合....
「雛妓」より 著者:岡本かの子
。また、なにか為めにするところがあるようにも取られ易い。これを思うと筆はちょっと
臆する。それで筆者は幾度か考え直すに努めて見たものの、これを更えてしまっては、全....
「黒死館殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
フ夫人の死を希っているような人物があるのなら」
「たとえば私がそうですわ」伸子が
臆する色もなく言下に答えた。「何故なら、私が偶然にその理由を作ってしまったからで....
「島原の乱」より 著者:菊池寛
母は法名をマルタと称し、四郎旗挙げに際して、熊本藩の手に捕われたのだが、母の為に
臆するなく存分に働けと四郎へ云い送った程の女丈夫である。 しかし事ここに至って....
「千早館の迷路」より 著者:海野十三
ないようにするためであった。 帆村の手にも、今やピストルが握られた。 二人は
臆する気色もなく階段をあがって行った。すっかり貴族の部屋らしい飾りつけであった。....
「太平洋魔城」より 著者:海野十三
、首領らしい男が、どっかり腰をおろしている。 すでに覚悟のできている太刀川は、
臆する色もなく、一同をじろりとにらめわたしながら、悠然とつったっている。かの首領....
「琵琶伝」より 著者:泉鏡花
心頭を衝きて烈火のごとく、 「何だ!」 とその言を再びせしめつ。お通は怯めず、
臆する色なく、 「はい。私に、私に、節操を守らねばなりませんという、そんな、義理....
「紅毛傾城」より 著者:小栗虫太郎
カノヴァのそれのように、両手を胸の上で組み交わした。 そして、その姿勢のまま、
臆する色もなく横蔵に言った。 「私、たいへん寒いんですの。もう凍え死にしそうです....
「夢は呼び交す」より 著者:蒲原有明
も、すべて残る隈なく、彼の心眼に映って来る。そこには欺瞞も虚飾もない。彼はそれを
臆する色もなく見詰めている。それでいて、もはや心に動揺をおぼえるというようなこと....
「光は影を」より 著者:岸田国士
に感じないわけにいかんじやないか……。礼を尽し、誠意をこめ、しかも、堂々として、
臆するところのない態度は、まことに見あげたもんだ。たゞ、一点、慎重を期すべきは、....
「オフェリヤ殺し」より 著者:小栗虫太郎
時の間にか、そこには淡路研二が突っ立っていた。 この老練な新劇界の古|強者は、
臆する色もなく、椅子を引き寄せた。彼はずんぐりとした胴に牡牛のような頸を載せてい....
「眠い町」より 著者:小川未明
か自分を揺り起こしたように思ったが、このじいさんであったかと考えましたから、彼は
臆する色なく、そのじいさんの方に歩いて近づきました。月の光で、よくそのじいさんの....