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自分持
「自分持〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
自分持の前後の文節・文章を表示しています。該当する7件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「縮図」より 著者:徳田秋声
銀子は思ったが、引き返すのもどうかと思案して、かまわず近よって行った。銀子は
自分持ちの箱丁に、時々金を握らせていたので、栗栖の座敷だとわかると、箱丁も気を利....
「黴」より 著者:徳田秋声
麗な二階の書斎で、温かそうな大ぶりな厚い蒲団のうえに坐って、何やら蒔絵をしてある
自分持ちの莨盆を引き寄せた。そこからは紫だったような東山の円ッこい背が見られた。....
「旧聞日本橋」より 著者:長谷川時雨
ったものの、模様や線をひきにくる。腕はその当時いい男だといわれていたのに、弁当も
自分持ちで、定木《じょうぎ》も筆も持参で来て、ひどい机だけかりて仕事をして、それ....
「死刑囚最後の日」より 著者:豊島与志雄
うのさ。こういうわけだよ。わしは憐れな憲兵だ。役目は重いし、月給は少ないし、馬は
自分持ちでやりきれない。そこで、たりない分を手に入れるつもりで富籤《とみくじ》を....
「幕末維新懐古談」より 著者:高村光雲
した。 この時代は、私は先方の都合はどうであっても委細かまわず弟子にしました。
自分持ちで通える人は通ってもらい、また食べることが出来ず、居る所のない人は、家へ....
「沼畔小話集」より 著者:犬田卯
葺家を建てて私の家の屋敷続きに住んでいる松原浩さんが言うのであった。食事はむろん
自分持ちとのこと。 ちょうどその当時、私のところでは東京から帰村したばかりで、....
「美しい日本の歴史」より 著者:吉川英治
疫病流行のためでもあったろう、宝亀三年から四年にかけてインフレがおこった。彼らは
自分持ちの宅地や口分田まで質入れして辛くもそんなときを凌いだ。その遣り繰りのため....