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自前
「自前〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
自前の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「母子叙情」より 著者:岡本かの子
ていることだった、もっとも織田は、その後、財産をすっかり失くしてしまって、土地に
自前の雑貨店を営んで、どうやら生活している。彼の知識的の妻も、解放運動などはおく....
「黒死館殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
録は、その場でクリヴォフ様がお破り棄てになりましたけど、それ以後の私は、あの方の
自前勝手な敵視をうけるようになったのでございます。今日だってそうですわ。たかが、....
「縮図」より 著者:徳田秋声
とも知っているので、たといどんな屋台骨でも、人に縋りたくはなかった。ともかく当分
自前で稼ぐことにして路次に一軒を借り、お袋や妹に手伝ってもらって、披露目をした。....
「宝島」より 著者:佐々木直次郎
乗り、それからフリントの船に乗った、というのが己の経歴だ。そして今じゃあ、言わば
自前になったって訳さ。己はイングランドの時には九百ポンド貯め、フリントのところで....
「操守」より 著者:豊島与志雄
。 「そのうちに、看板を借りようと思ってるのよ。」 そして、丸抱えで出てるのと
自前で出るのとの違いを、商売の自由さの点や、収入の関係など、こまかな数字まで交え....
「アド・バルーン」より 著者:織田作之助
板がかかっていたり、芝居の小道具づくりの家であったり、芸者の置屋であったり、また
自前の芸者が母親と猫と三人(?)で住んでいる家であったりして、長屋でありながら電....
「家なき子」より 著者:楠山正雄
かけ歩いたりするついでに、ぐうぜん覚えるだけではなかった。このお父さんはいよいよ
自前で植木屋を開業するまえに植物園の畑で働いていた。そこには学者たちがいて、かれ....
「眉の記」より 著者:上村松園
いのは当然すぎるほど当然の理なのである。 私はもちろん美しい新月のように秀でた
自前の眉毛を剃り落したあの青眉にたまらない魅力を感じているひとりなのである。 ....
「私の小売商道」より 著者:相馬愛蔵
京のまん中なら神田の炭屋が、三里も距った郊外の笹塚から注文があったからとて配達費
自前で届けるのをもって勉強と心得るのは、間違ったやり方である。遠い所は他の店に譲....
「式部小路」より 著者:泉鏡花
処で、炎天を舞い戻ると、もう東京じゃ、誰も対手にしないことを知ってますから、一番
自前で遣ろうというんで方々捜したそうですがね。 当節は不景気ですから、いくらも....
「生不動」より 著者:橘外男
いた頃であったから、その時分気心の合っていた札幌の芸者で君太郎という二十一になる
自前の妓と、しばらく人眼を避けて二人だけになりたい一種の逃避行なのであった。 ....
「娘」より 著者:岡本かの子
ん繁昌した旧幕の頃、江戸|大通の中に数えられていた室子の家の先代は、この引き堀に
自前持ちの猪牙船を繋いで深川や山谷へ通った。 室子の家の商品の鼈甲は始め、玳瑁....
「濹東綺譚」より 著者:永井荷風
いたから、話をきいたのよ。」 「それにしても、えらいよ。年《ねん》があけたら少し
自前《じまえ》で稼いで、残せるだけ残すんだね。」 「わたしの年は水商売には向くん....
「海苔の茶漬け」より 著者:北大路魯山人
ほんとうに美味しいのりの佃煮が食べたい人は、売りものにろくなものはないから、
自前でつくるよりほか仕方がない。 自分で拵えるのは、生のりの採れる時分に、生の....
「春泥」より 著者:久保田万太郎
それも君のように、いち/\大屋んとこへ頭を下げて借りに行くんじゃァない、ちゃんと
自前で、うちへ毎日来るのをちゃんとみているんだ。」 「うるせえな、大きにお世話だ....