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自嘲
「自嘲〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
自嘲の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「土曜夫人」より 著者:織田作之助
計ですね」という言葉に「醜い」という意味を含ませたのは、春隆にわずかに残っていた
自嘲の精神だろう。 含ませるといえば、貴子の体を胸にもたせかけるまでにはしなか....
「人外魔境」より 著者:小栗虫太郎
紅藻らしいんだよ。こんな聖地で欲をだしたんで失敗したのかも知らんね」とダネックが
自嘲気味にいうのだった。
やがて、芯の泥氷部をさけて二、三時間も掘ると、なつか....
「青春の逆説」より 著者:織田作之助
今日はいくらか間が抜けて見えたのである。(俺はなんという不調法な男だろう)豹一は
自嘲していたが、この不調法という言葉が気に入って、やや救われた。しかし彼はそんな....
「世相」より 著者:織田作之助
「西鶴は『詰りての夜市』を書いているが、俺の外出は『詰りての闇市』だ」 そう
自嘲しながら、難波で南海電車を降り、市電の通りを越えて戎橋筋の闇市を、雑閙に揉ま....
「弓町より」より 著者:石川啄木
詩を書いていた時分に対する回想は、未練から哀傷《あいしょう》となり、哀傷から
自嘲《じちょう》となった。人の詩を読む興味もまったく失われた。眼を瞑《ねぶ》った....
「疑問の金塊」より 著者:海野十三
はなんて唐変木なんだろう。自惚が強すぎるぜ。まだ仕事も一人前に出来ないのに……」
自嘲したり、自惚たりしているうちに、ようやく陶然と酔ってきた。――そして、いつの....
「黒死館殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
か? これこそ、奇を嗜み変異に耽溺する、君の領域じゃないか」と剛愎な彼に似げない
自嘲めいた笑を洩らすのだった。
実に、怪奇な栄光に続いて、法水を瞠目せしめた死....
「猿飛佐助」より 著者:織田作之助
けば駄洒落か七五調、すまじきものは宮人気取った風流口調の軽薄さ。おまけに、自虐か
自嘲か、われよりアバタを言い触らすとは、いっそ破れかぶれか……。 「いや、あれも....
「千早館の迷路」より 著者:海野十三
だろう、はっはっはっ」 「せ、先生。どうなすったんですの」 春部の声に、帆村は
自嘲を停め、 「カズ子さん、謎は解けました。全く子供騙しのような謎なんです」 「....
「雨」より 著者:織田作之助
きめつけてやる気になった。三日間尾行するよりほかに物一つ言えなかった弱気のために
自嘲していた豹一の自尊心は、紀代子からそんな態度に出られて、本来の面目を取り戻し....
「巴里の唄うたい」より 著者:岡本かの子
う。そして彼女はうめくべく唄の一句毎の前には必らず鼻と咽喉の間へ「フン」といった
自嘲風な力声を突上げる。「フン」「セ・モン・ジゴロ……」である。 これに不思議....
「可能性の文学」より 著者:織田作之助
期の短歌の如く新感覚派にも似た新しい官能の文学であろうか、あるいは頽廃派の自虐と
自嘲を含んだ肉体悲哀の文学であろうか、肉体のデカダンスの底に陥ることによってのみ....
「郷愁」より 著者:織田作之助
程しかいない。たいていは二流以下のまま死んで行く。自分もまたその一人かと、新吉の
自嘲めいた感傷も、しかしふと遠い想いのように、放心の底をちらとよぎったに過ぎなか....
「金山揷話」より 著者:大鹿卓
佐々木は、そういって部厚な膝をゆすった。彼の童顔はただ好人物らしくふくよかな、
自嘲や卑屈な影などは窺えなかった。 「だけど、市岡は最後まで意識がはっきりしてた....
「雨」より 著者:織田作之助
かった体、死んでお詫びしたくとも、矢張り死ぬまで一どお眼に掛りたく。弱気な文句と
自嘲しながら書いた。早速お君が飛んで来ると思ったのに、手紙が速達で来た。裏書が毛....